ミュゼ・ドルセー駅

ミュゼ・ドルセー駅について

ミュゼ・ドルセー駅（Gare du Musée d'Orsay）は、フランスの首都パリの中心に所在し、重要な交通拠点であるだけでなく、歴史的にも意義深い場所です。この駅は、かつてオルセー駅として知られ、多くの列車の発着が行われていましたが、1939年以降は近郊列車専用駅として機能するようになり、その後はオルセー美術館に姿を変えました。

駅の所在地

この駅はパリ7区のセーヌ川左岸、アナトール・フランス河岸に位置しており、駅名はオルセー河岸に由来しています。この河岸の名前は、オルセー宮に関連しており、圧倒的な歴史を感じさせます。

歴史的背景

オルセー宮は、ナポレオン・ボナパルトによって1810年に建設されましたが、外務省の使用には至りませんでした。1840年以降、別の政府機関が使用するようになったものの、1871年のパリ・コミューンの際に放火され焼失。その後の19世紀の終わりには、新しい開発計画が検討され、最終的にはパリ・オルレアン鉄道のターミナル駅がここに設置されることとなりました。

駅の建設と設計

1898年に建設が始まり、1900年5月には完成しました。初めての蒸気機関車がこの駅に到着した日のことは、街の人々にとって記念すべき日となりました。設計はヴィクトール・ラルーによるもので、特に特徴的なドーム状の屋根が印象的で、鉄骨構造を活かしつつも美しい外観を保つように意図されました。

駅舎は、他の駅舎とは異なり、切符売り場や待合室が一つの屋根のもとに集約されていました。その構造は、利用者にとって利便性を考慮したものとなっており、ホーム部分と地上の空間が独立した設計ではなく、新たなスタイルのターミナル駅を生み出しました。

オルセー駅は国際的な列車サービスも行っており、スペインやポルトガル行きの「南急行」もここから発着していました。しかし、1930年代には長時間列車の運行に課題が生じ、とうとう1939年には長距離列車の発着がオステルリッツ駅に移されることとなりました。この結果、オルセー駅は近郊路線専用へとシフトしたのです。

駅のその後の利用

駅舎は戦後、様々な用途に転用されました。ドイツ軍の司令部が設置されたり、捕虜受け入れ施設として使われるなど、その姿は時代と共に変化しました。また、1970年代には駅舎の保存が叫ばれるようになり、1978年には歴史的記念物として認定されました。

1980年、オルセー駅は改装計画により美術館へと生まれ変わることが決定しました。1986年にはオルセー美術館として開館し、現在でも市民や観光客に愛されています。

駅の構造

現在のミュゼ・ドルセー駅は、地下に設けられた島式ホームが2面4線存在しており、利用者が便利に利用できるようになっています。歴史的な美術館とも直結しており、地下駅ならではの特長を生かした構造が評価されています。

駅周辺には、オルセー美術館の他、レジオンドヌール勲章博物館や官庁街が広がっています。観光名所が近くに多数存在するため、交通の便も良く、多くの人がここを訪れています。近年、オルセー駅はパリの重要な文化的および交通的な拠点として、その存在感を示し続けています。

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