ミュリナー・パークウォード

ミュリナー・[パークウォード]は、英国を代表する高級車メーカー、ロールス・ロイスとベントレーの特注ボディ製作を担っていたコーチビルダーです。その歴史は、H・J・ミュリナーとパークウォードという二つの老舗コーチビルダーの合併に遡ります。しかし、両社の合併経緯については、いくつかの説が存在しており、明確な結論は出ていません。

一つの説では、1959年にロールス・ロイスがH・J・ミュリナーとパークウォードとの間で業務提携を結び、事実上の買収が行われたとされています。その後、関係は緊密になり、1962年に両社は正式に合併。ミュリナー・パークウォード社が誕生しました。

別の説では、1959年にロールス・ロイスがH・J・ミュリナーを買収し、1961年にパークウォードを合併したとされています。いずれの説においても、ロールス・ロイスの資本と技術支援が合併の背景にあったことは間違いありません。

合併後、ミュリナー・パークウォードはロンドン郊外ウィルズデンにあった旧パークウォード工場を拠点として操業を続けました。その後、社名を変更し、1978年にはウィルズデンの工場で生産が行われていたことが確認できます。そして、1997年時点ではロールス・ロイスの社内コーチビルダーとして、ロールス・ロイスとベントレーのスペシャルボディ製作を専任で行っていました。顧客の要望に沿った、まさに「ビスポーク」な車両製作で名声を博しました。

ミュリナー・パークウォードは、長い歴史と伝統を持つコーチビルダーとしての高い技術力と、ロールス・ロイスという強力なバックボーンを背景に、世界中の顧客に究極のラグジュアリーを提供し続けてきました。その卓越したクラフトマンシップは、現在でもロールス・ロイスのビスポーク部門に受け継がれています。

彼らの製作した車両は、まさに芸術作品と呼ぶにふさわしいものであり、世界中のコレクターから高い評価を得ています。個々の顧客の要望に応じた、細部に至るまで完璧に仕上げられたボディワーク、上質な素材の使用、そして熟練の職人による手仕事は、他の追随を許さない、唯一無二の存在感を放っていました。

これらの歴史的事実は、高島鎮雄著『世界の自動車-22 ロールス・ロイス ベントレー - 戦後』や『ワールド・カー・ガイド27ロールス・ロイス&ベントレー』といった文献に記述されています。これらの資料は、ミュリナー・パークウォードの歴史と技術力を理解する上で重要な役割を果たしています。それぞれの文献からは、異なる視点や詳細な情報が得られ、より包括的な理解へと導いてくれます。まさに、自動車史における重要な一コマを担っていたと言えるでしょう。

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