ミュージアム (漫画)

『ミュージアム』は、漫画家・巴亮介が手がけた日本のサスペンスホラー作品です。『週刊ヤングマガジン』（講談社）にて、2013年35号から2014年10号にかけて連載され、その後2016年には新作エピソードも掲載されました。

物語は、雨の日のみに姿を現し、残虐な猟奇殺人を繰り返す謎の存在「カエル男」と、彼を追う警視庁捜査一課の刑事、沢村久志を主軸に展開します。

主人公の沢村久志は、仕事に没頭するあまり家庭を顧みず、妻の遥と息子の将太に家出されてしまうという問題を抱えていました。そんな中、彼が担当することになったのは、餌を与えられずに生きながら犬に食い殺された女性という凄惨な事件でした。

カエルのマスクとレインコートを身につけ、雨が降る日を選んで犯行に及ぶ「カエル男」は、自らを芸術家と称し、残忍な手口で殺人を重ねます。雨雲を追うように移動するその犯行に、当初は手がかりがつかめませんでしたが、やがて被害者たちが全員、過去に発生した「幼女樹脂詰め殺人事件」の裁判員を務めていたことが明らかになります。さらに、沢村の妻である遥もその裁判員の一人だったことが判明し、沢村は個人的な危機感を募らせます。

捜査の初期段階では、有罪判決を受けた被告・大橋茂の親族による復讐ではないかとの見方も浮上しましたが、沢村は「カエル男」こそが真犯人であり、自身の犯行を無関係な人物のせいにした裁判員たちへの報復として殺人を繰り返していることにただ一人気づきます。カエル男の魔の手は、沢村の周囲にも及び、彼の後輩刑事である西野純一が拉致され、沢村の目の前でビルの屋上から突き落とされて命を奪われます。さらに、友人の家に身を寄せていた沢村の妻子までもが、カエル男の標的となってしまいます。

警察組織を離れ、家族を守るため単独で犯人を追う決意をした沢村は、「カエル男」が雨の日以外に活動できない理由があるはずだと推測し、「光線過敏症」ではないかという仮説を立てます。様々な専門家を訪ね歩き、懸命な捜査を続けた結果、沢村は犯人の正体にたどり着きます。それは、資産家の両親を猟奇殺人犯に殺された被害者遺族と思われていた人物、霧島早苗でした。実は霧島こそが、両親をも自らの「芸術」と称する殺人の犠牲にした犯人だったのです。

霧島の自宅に乗り込んだ沢村でしたが、頭部への一撃を受け意識を失い、監禁されてしまいます。そこで見せられたのは、あまりに精巧に作られた妻子の生首の偽物でした。それが作り物と気づかずに泣き崩れる沢村の前に、「カエル男」こと霧島が現れます。霧島は沢村と妻子に3つの「エンディング」を示唆し、彼らを殺害しようとします。間一髪で追いついた警察官が霧島に銃口を向けますが、追い詰められた霧島は外へ飛び出します。しかし、その日は快晴であり、紫外線にさらされた霧島の顔は大きく腫れ上がり、彼は意識を失い倒れます。

事件から1年後、沢村は事件のトラウマから刑事を辞め、カウンセリングを受けながら妻子と静かに暮らしていました。霧島は依然として昏睡状態のままです。妻の遥は、かつて裁判員として無実の人間を死に追いやったことについて取材で追及され、答えられずに逃げ出してしまう場面が描かれています。

本作は、その衝撃的な内容から大きな反響を呼び、2016年には実写映画が公開されました。監督は大友啓史、主演は小栗旬が務め、「カエル男」役を妻夫木聡が演じました。映画は興行収入面でも成功を収め、妻夫木聡が日刊スポーツ映画大賞の助演男優賞を受賞するなど、俳優陣の演技も高く評価されました。制作に際し、監督はリアリティを追求し、特にカエル男のデザインは原作から変更されています。また、小栗旬は役作りのため家族と離れて生活するなど、役への深い没入ぶりが伝えられています。映画のレイティングはG指定となりましたが、制作側はR-15指定を想定しており、直接的な描写がなければG指定になるという日本の基準について言及されています。映画公開に合わせ、スピンオフドラマ『ミュージアム -序章-』も配信されました。

漫画は講談社から単行本および新装版「完本」として刊行され、牧野修による公式ノベライズも出版されています。

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