ミュージックキャリー

シャープ ミュージックキャリー：ラジオ録音に特化したデジタルオーディオプレーヤー

シャープの「ミュージックキャリー」は、一見するとラジカセのような外観を持つデジタルオーディオプレーヤーです。最大の特徴は、AM/FMラジオチューナーを内蔵し、内蔵メモリにラジオ番組を録音できる点にあります。当時、このような機能を備えたデジタルオーディオプレーヤーは珍しく、そのユニークなコンセプトが注目を集めました。

製品概要

「ミュージックキャリー」には、1GBのメモリを搭載したQT-MPA10と、512MBのメモリを搭載したQT-MPA5の2つのモデルが存在し、それぞれ数色のカラーバリエーションが用意されていました。本体にはスピーカーが内蔵されており、一般的なポータブルオーディオプレーヤーとは異なり、据え置きでの使用を想定した設計となっています。まさに、ラジカセのカセットテープ部分をメモリオーディオに置き換えたような製品と言えるでしょう。

主な機能

内蔵のチューナーで受信したラジオ番組をMP3形式で録音できるほか、内蔵メモリに保存されたオーディオデータを再生することができます。対応ファイル形式はMP3、WMA、WAVと幅広く、DRM（デジタル著作権管理）にも対応しています。パソコンとの接続はUSB経由で行い、データの転送を行います。また、タイマー機能も搭載しており、ラジオ番組の留守録や、目覚まし再生、スリープタイマーとしての利用も可能です。

製品コンセプトと市場の反応

製品名から推測できるように、当初は音楽データを持ち出して楽しむことを想定していたようですが、実際にはAMラジオを録音できる数少ないデジタルオーディオプレーヤーとして、ラジオ番組を録音（エアチェック）するユーザーに広く支持されました。特に、ビデオデッキ並みの複数番組のタイマー予約録音機能は、ラジオファンにとって非常に魅力的なものでした。

外部入力と録音機能

本製品には、外部入力端子も搭載されており、他のオーディオ機器からの録音も可能です。シャープ製のMDシステムなどと同様に、簡易的なVUメーターで録音レベルを確認・調整できます。ただし、MDのような後からの分割・結合機能は備わっておらず、レコードなど雑音の多い外部機器からの録音には不向きで、パソコンでの編集が必要になります。

競合製品の登場

「ミュージックキャリー」の生産終了後、山善、パナソニック、ソニーなどから、同様のコンセプトを持つAM/FMラジオ、プログラムタイマー録音機能を搭載したデジタルオーディオプレーヤーが相次いで発売されました。これらの製品は、SDカードなどの外部メモリーに対応し、より利便性が向上しています。

まとめ

シャープの「ミュージックキャリー」は、ラジオ録音という特定のニーズに着目したユニークなデジタルオーディオプレーヤーでした。その斬新なコンセプトと、当時の市場のニーズが合致し、多くのユーザーに支持されました。後継機種の登場により、そのコンセプトは他のメーカーにも引き継がれ、現在も一定の需要が存在しています。

外部リンク

シャープ：デジタルオーディオプレーヤー - ウェイバックマシン（2007年3月3日アーカイブ分）
AV Watch掲載のレビュー記事

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