ミュージック・リラクゼーション

NHK-FMで放送されていた「ミュージック・リラクゼーション」は、2007年4月3日から2009年2月28日まで、およそ2年間にわたって多くのリスナーに安らぎのひとときを提供した音楽番組です。

この番組の大きな特徴は、多岐にわたる音楽ジャンルを組み合わせた選曲にありました。番組で流れるのは、クラシック音楽をはじめ、イージーリスニングやニューエイジミュージックといった、心穏やかになるようなジャンルの楽曲が中心でした。加えて、かつてラジオ第1放送の「台風情報」において、更新情報の間に待機音楽として使用されていた、日本のポップス曲をイージーリスニング風にアレンジした音源も、この番組の楽曲ラインナップとして引き継がれ、使用されていました。

番組の進行役は、声優の富沢美智恵さんが務めました。彼女の落ち着いた温かみのある語りは、番組の持つリラクゼーションというテーマをより一層深める要素となっていました。番組の冒頭と終わりには、富沢さんによる丁寧なナレーションが挿入され、リスナーを穏やかな音楽の世界へと誘い、そして現実へと優しく引き戻す役割を果たしていました。また、番組の最後には日本の古き良き叙情歌や唱歌といった楽曲が必ず流れること、そして週替わりで日本の短歌が朗読されることも、この番組ならではの特色として挙げられます。これらの趣向は、「ミュージック・リラクゼーション」が終了した後の2009年4月から放送が始まった後継番組「インストルメンタル・ジャーニー」にも受け継がれています。

放送時間に関しては、番組期間中に一度変更がありました。番組開始当初の2007年度は、午前の放送枠と深夜の放送枠が設けられていましたが、具体的な深夜の放送時間は明確ではありません。しかし、2008年4月からは、深夜の放送開始時刻がそれまでよりも10分早まり、番組全体として50分間の放送枠となりました。一方、午前の放送に関しては、変更後も従来どおりの40分間の放送枠が維持され、この時間帯は主に前年度の放送内容を再放送する形が取られていました。

全国放送の番組でしたが、一部地域ではローカル編成による差し替えが行われることもありました。例えば、京都放送局では、2007年10月26日の深夜から2008年2月8日の深夜にかけての期間中、金曜日の深夜0時10分から1時までの時間帯が、京都放送局が独自に制作した番組『オトナチック!ラジオ』に差し替えられていました。このため、京都地域のリスナーは該当時間帯に「ミュージック・リラクゼーション」を聴くことができませんでしたが、差し替えられた回の内容は、翌週の午前9時20分からの放送で聴取することが可能でした。
また、関西地方の6県（大阪府、京都府、兵庫県、奈良県、和歌山県、滋賀県）においても、2008年4月から番組終了の2009年2月までの期間、原則として各月の最終週にあたる3日間または4日間、深夜の放送枠が大阪放送局制作のローカル番組『大阪発デジタルバザール』に差し替えられるという措置が取られていました。この影響により、関西地方のリスナーは、これらの期間中は「ミュージック・リラクゼーション」の深夜放送を聴取できない回が存在しました。

「ミュージック・リラクゼーション」は、その短い放送期間ながらも、選曲の妙と穏やかな語りによって、多くのリスナーの心に安らぎをもたらした番組と言えるでしょう。日本の叙情歌や短歌を取り入れるといった独自の試みも、その個性を際立たせていました。

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