ミライトワとソメイティ

東京2020マスコット：ミライトワとソメイティ

東京2020オリンピック・パラリンピックの公式マスコットとして、ミライトワとソメイティは、大会前から大きな注目を集めました。彼らはそれぞれ、オリンピックとパラリンピックを象徴する存在として、大会を盛り上げ、多くの人々に愛されました。

キャラクター概要

ミライトワとソメイティは、デジタル世界に住み、インターネットを通じて現実世界と自由に行き来できるという設定です。性別は特に設定されていません。

ミライトワ

ミライトワは、東京2020大会のエンブレムと同じ藍色と白の市松模様が特徴的なキャラクターです。頭部には2本の尖った耳があり、そのコンセプトは「温故知新」。正義感が強く、運動神経も抜群で、どんな場所にも瞬間移動できる能力を持っています。「未来」と「永遠（とわ）」という言葉を組み合わせた名前には、「素晴らしい未来が永遠に続くように」という願いが込められています。

ソメイティ

ソメイティは、ピンク色と白を基調としたキャラクターで、クールな性格をしています。顔の両サイドにある桜の触角でテレパシーを使い、市松模様のマントで空を飛ぶことができます。普段は物静かですが、いざとなると誰よりもパワフル。自然を愛する心を持ち、超能力で石や風と会話できます。また、念力で物を動かすことも可能です。名前は、桜の代表品種「ソメイヨシノ」と、非常に力強いという意味の英語「so mighty」に由来します。

マスコット決定までの道のり

2017年5月22日、組織委員会はマスコットキャラクターの公募を発表しました。全国の小学校や海外の日本人学校の小学生による投票を経て、最終的に3つの候補の中から選ばれました。

2017年12月7日には、2,042件の応募作品から最終候補3作品が発表され、2018年2月22日まで小学生による投票が行われました。16,769校、205,755学級が参加し、2018年2月28日、福岡県在住のデザイナー、谷口亮氏がデザインした（ア）案が最多得票を獲得しました。

ネーミングは、1998年長野オリンピックでもマスコットネーミングを担当した「ZYXYZ」に委託され、小学生へのアンケート結果をもとに候補が作成されました。大会マスコット審査会による投票と商標調査を経て、最終的にミライトワとソメイティという名前が決定しました。

メディアとマーチャンダイジング

オリンピック関係者は、マスコットのライセンスとマーチャンダイジングによって、東京大会の資金調達に貢献すると期待していました。実際、1億3000万ドル(約144億円)の収益が見込まれていましたが、組織委員会の予算管理には批判もありました。組織委員会は大会終了後、マスコットの知的財産権を国際オリンピック委員会および国際パラリンピック委員会に譲渡する必要がありました。

東京都交通局は、都営バスにミライトワとソメイティのラッピングバスを運行し、JR東日本も山手線の一部車両をラッピングしました。また、2018年の第69回NHK紅白歌合戦では、Foorinの応援でミライトワとソメイティが出演しました。

2021年の東京オリンピック・パラリンピックでは、無観客開催の影響で両キャラクターの登場は少なかったものの、パラリンピックの閉会式には登場し、イベントを盛り上げました。

グッズ展開

記念硬貨

東京2020オリンピック・パラリンピックの記念硬貨として、ミライトワとソメイティのデザインが施された100円硬貨が発行され、人気を博しました。

ぬいぐるみ

公式ライセンス商品の販売を手掛けるサン・アローがぬいぐるみを販売しましたが、後に贈収賄事件が発覚。大会組織委員会理事であった高橋治之氏との間で、便宜供与の謝礼として700万円が贈られていたことが明らかになり、サン・アロー本社が家宅捜索され、関係者が起訴されました。

ロボット

組織委員会とトヨタ自動車の共同開発により、ミライトワとソメイティのロボットも製作され、公開されました。

評価

マスコットの選抜に対する反応は、概ねポジティブでした。しかし、「未来的な青とピンクのキャラクターがジェンダー的な役割に堕している」との批判や、「ポケモンのようだ」という意見もありました。一方で、作家の鈴木るりか氏は「世界的に人気のある日本のアニメ風」と評価し、教育学者の尾木直樹氏は、子供たちがマスコット選定に関わった意義を強調しました。

海外メディアでは、「愛らしい」との評価がある一方、「より丸い、抱きしめたくなるデザインが好ましい」という意見もありました。また、大人と子供で好みが分かれ、大人はより柔らかく伝統的なデザインを好んだという指摘もあります。

スポーツニュースサイトでは、平昌オリンピックのマスコットの人気に匹敵するのは難しいとの見方や、デザインについて「機能的に何も間違っていない」としながらも、他の候補が優れていたという意見も出ました。

遺産

デザイナーの谷口亮氏は、2022年1月3日にミライティを制作し、2020年オリンピック・パラリンピックの遺産の一部としています。