ミルフィーユ

ミルフィーユとは

ミルフィーユ（mille-feuille）は、フランス語で「千枚の葉」という意味を持つ、美しい層状のお菓子です。その名の通り、薄く焼き上げたパイ生地（フィユタージュまたはパート・フィユテ）を何層にも重ね、間にクリームを挟んだものが基本形です。表面には粉砂糖がまぶされていたり、糖衣がけされていたりします。パリッとしたパイ生地と、なめらかなクリームの組み合わせが絶妙で、多くの人に愛されています。

ミルフィーユの構成

ミルフィーユに使われるパイ生地は、小麦粉とバターを練り合わせて作られます。この生地を薄く伸ばしては折りたたむ作業を繰り返すことで、焼き上げた際に何層にも重なった、サクサクとした食感を生み出します。この層状になった生地を「1000枚の葉」と例えたのが、ミルフィーユの名前の由来です。

ミルフィーユの種類

ミルフィーユには、様々な種類があります。

ミルフィーユ・ロン (mille-feuille rond)：丸い形をしたミルフィーユで、側面には刻んだパイ生地がまぶされています。
ミルフィーユ・グラッセ (mille-feuille glacé)：表面を糖衣で覆ったミルフィーユで、チョコレートなどで飾り付けがされているものもあります。
ミルフィーユ・ブラン (mille-feuille blanc)：3枚のパイ生地のうち、中央の1枚をスポンジケーキに替えたものです。
ミルフィーユ・オ・フレーズ (mille-feuille aux fraises)：苺を挟んだミルフィーユで、「ナポレオンパイ」とも呼ばれます。冷やして食べるのがおすすめです。

クリームは、カスタードクリームが一般的ですが、生クリームやバタークリームが使われることもあります。また、アプリコットジャムやリンゴのコンポートなど、クリーム以外のものが使われることもあります。

ミルフィーユの歴史

ミルフィーユは、18世紀末から19世紀初頭にかけて活躍した菓子職人アントナン・カレームが考案したという説が有力です。しかし、カレーム自身も「起源は古いもの」と述べていたことからも、ミルフィーユの起源には諸説あります。

その一つに、アラブの古いお菓子「パータ・フィロ」が、ヨーロッパに伝わり、進化したという説があります。また、17世紀の画家クロード・ロランが考案したという説や、コンデ公のお抱え菓子職人フィエが考案したという説もあります。古代ローマ時代にも、薄い生地をクリームと重ねたお菓子が存在していたことから、ミルフィーユのルーツは非常に古いと考えられています。

初期のミルフィーユは、表面のパイ生地に卵を塗って焼いたものでしたが、1822年頃から糖衣がけが用いられるようになり、現代のようなミルフィーユに近づきました。

ナポレオン（パイ）とは

日本では、苺を使ったミルフィーユを「ナポレオン」と呼ぶことが一般的ですが、海外では「ナポレオン」は通常のミルフィーユの名称として使われています。この名前は、ナポレオン・ボナパルトが普及させたことに由来するとも言われています。

日本でのミルフィーユの広まり

ミルフィーユが日本に伝わったのは、幕末から明治にかけて、横浜で洋菓子店を営んでいたフランス人のサミュエル・ペールがきっかけだと考えられています。その後、村上光保という人物がフランス菓子の製造技術を学び、1874年に村上開新堂を開業し、「ミルフェ」という名前で販売したことで、日本でもミルフィーユが広まっていきました。

千葉県とミルフィーユ

千葉県では、ミルフィーユの「千枚の葉」という意味と県名をかけて、「千葉ミルフィーユ」というお菓子が作られたり、施設名に「ミルフィーユ」が使われたりするなど、地域振興に役立てる試みが行われています。

ミルフィーユの食べ方

ミルフィーユは、そのままナイフを入れると崩れてしまうことがあります。そのため、フォークとナイフ（またはスプーン）を使って、横に倒してから、左側から切り分けて食べるのがおすすめです。

まとめ

ミルフィーユは、その美しい見た目と、サクサクのパイ生地と濃厚なクリームのハーモニーが魅力的なお菓子です。歴史や種類を知ることで、さらに美味しく味わえるでしょう。

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