ミルマグ

ミルマグ（Milmag）

「ミルマグ」は、日本の製薬会社であるロート製薬グループが展開する便秘薬のブランドです。このブランドには、一般用医薬品として薬局・薬店などで販売される製品と、医療機関で医師から処方される医療用医薬品の製品が存在し、それぞれ製造販売元が異なります。

名称の由来

「ミルマグ」という名称は、アメリカ合衆国で用いられる医薬品の公定書に「MILK OF MAGNESIA」という名称で収載されている製剤に由来しています。この公定書に記載された製剤と同じものが、日本の「ミルマグ」として展開されています。

歴史

ミルマグの歴史は古く、最初に医療用製品として市場に登場しました。1953年5月には、液剤の「ミルマグ」（現在の「ミルマグ内用混濁液」）が発売されました。続いて1958年4月には、医療用の錠剤である「ミルマグ錠」が発売されています。これらの初期製品は、発売開始当時、阪急電鉄傘下にあった阪急共栄物産が販売を担っていました。当時の新聞広告などでは、他の阪急グループの企業と同様に、広告枠に阪急電車のデザインが採用されていたという特徴があります。

一般向けの便秘薬としては、1983年6月に液剤の「ミルマグ液」が初めて発売され、家庭で手軽に利用できる製品として展開が始まりました。

その後、2002年12月には、ミルマグの製造・販売がエムジーファーマ株式会社へ引き継がれ、引き続き製品の供給が行われました。しかし、時代の流れとともに体制が変化します。2022年7月1日には、一般用製品である「錠剤ミルマグLX」と「ミルマグ液」の製造販売および顧客サポート業務が、エムジーファーマの親会社であるロート製薬株式会社へ承継されました。このブランド承継に先立ち、ロート製薬が従来販売していた類似の便秘薬「スラーリア」は、同年7月をもって製造を終了しています。そして、同年11月には、ロート製薬の製品として装いを新たに、パッケージデザインや包装体系が刷新されリニューアル発売されました。さらに、2023年11月には、エムジーファーマが製造販売を続けていた唯一の一般用製品であった「ミルマグ内服液」が販売を終了し、一般用「ミルマグ」ブランドの製品は、ロート製薬での製造販売に一本化されました。

医療用製品についても、販売体制の変更が進んでいます。2024年8月1日には、医療用の「ミルマグ錠」の販売体制を変更することが発表されました。同年10月1日からは、エムジーファーマと同じロート製薬グループに属する天藤製薬株式会社でも販売が開始され、それまで販売を担っていた共和薬品工業株式会社での販売は、在庫がなくなり次第終了することとなりました。また、その翌月である同年11月1日には、同じく医療用の「ミルマグ内用混濁液」について、配合されている原薬の製造中止影響により、在庫がなくなり次第販売を終了することが発表されました。これにより、共和薬品工業株式会社での医療用「ミルマグ」製品の販売は全て在庫消尽をもって終了し、医療用「ミルマグ錠」については天藤製薬株式会社での販売へ移行される予定となっています。

製品ラインナップ

一般用医薬品（全て第3類医薬品）
これらの製品は、刺激性成分を含まない非刺激性便秘薬であり、症状や年齢に応じて服用量を細かく調節できる点が特徴です。

ミルマグ液（水酸化マグネシウム）
主成分は水酸化マグネシウムです。便秘薬としての効果に加え、すでに分泌された胃酸を中和して胃への攻撃性を弱める制酸薬としての作用も併せ持ちます。そのため、便秘だけでなく、胃酸過多や胸やけなどにも使用可能です。服用可能な年齢は、便秘薬として使用する場合は3歳から、制酸薬として使用する場合は5歳からとなっています。本製品は成分が沈殿しやすいため、使用前にはボトルを逆さまにして成分が均一になるようによく振り混ぜる必要があります。計量カップで必要な量を取り、水で薄めて服用します。2022年11月のリニューアル以降、店頭では210ml入りが主に販売されており、大容量の600ml入りは、製造販売元がロート製薬に承継された2022年7月より、ロート製薬の公式オンラインショップやAmazonなどのEコマースサイト限定品として扱われています。

錠剤ミルマグLX（水酸化マグネシウム）
主成分は水酸化マグネシウムで、服用しやすいレモン風味の錠剤です。服用可能な年齢は5歳からとなっています。エムジーファーマでの販売時は120錠と240錠の2種類の容量で展開されていましたが、2022年11月のリニューアルに伴い、容量が90錠に集約され、小容量化されました。

医療用医薬品
医療用ミルマグ製品は、引き続きエムジーファーマ株式会社が製造を担っています。販売については、前述の通り共和薬品工業株式会社から天藤製薬株式会社への切り替えが進んでいます。

ミルマグ内用混濁液（水酸化マグネシウム）
主成分は水酸化マグネシウムの液剤です。

ミルマグ錠（水酸化マグネシウム）
主成分は水酸化マグネシウムの錠剤です。

これらの「ミルマグ」ブランド製品は、主成分である水酸化マグネシウムの働きにより、腸に水分を集めて便を柔らかくすることで、自然に近いお通じを促す非刺激性の便秘薬として、長年にわたり多くの人々に利用されています。

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