ミル・エンズ公園

ミル・エンズ公園：世界一小さな公園の物語

ミル・エンズ公園は、アメリカ合衆国オレゴン州ポートランドに位置する、非常に小さな公園です。かつてはギネス世界記録によって「世界一小さな公園」として認定されていましたが、2025年2月にその称号は別の公園に移りました。しかし、そのユニークな歴史と、地域住民に愛される魅力は今も健在です。

公園の概要

公園の面積はわずか0.29平方メートル。ダウンタウンのサウスウェスト・ナイトーパークウェイとサウスウェスト・テイラー通りの交差点付近に位置しています。元々は街灯の台座として作られたものの、街灯が設置されなかったために残された穴が、公園として生まれ変わりました。

歴史

ディック・フェイガンのコラム

公園の起源は、1948年に『オレゴン・ジャーナル』誌のジャーナリストだったディック・フェイガンが、街灯が設置されなかった穴に花を植えたことに遡ります。フェイガンは、自身が担当していたコラムの題名にちなみ、この場所を「ミル・エンズ」（Mill Ends、「必要素材の切れ端、端材」の意）と名付けました。

フェイガンはこの公園について、次のような物語を語っています。ある日、オフィスの窓から外を眺めていると、台座の穴の中でレプラコーン（アイルランドに伝わる妖精）が穴を掘っているのを目撃しました。彼はレプラコーンを捕まえ、「自分だけの公園が欲しい」と願ったものの、公園の大きさについては何も伝えなかったため、レプラコーンはこの小さな穴を公園として与えたのだ、と。

フェイガンはまた、「この場所を聖パトリックの祝日にアイルランドの妖精レプラコーンに捧げる。アイルランド以西で唯一のレプラコーンの土地である」とも述べています。以降、約20年間にわたり、フェイガンのコラムにはたびたびこの「公園」とレプラコーンの親方（「パトリック・オトゥール」と名付けられた）が登場しました。

フェイガンの死後

1969年にフェイガンが亡くなった後も、公園は他の人々によって手入れされ続けました。1976年には公式に市の公園として指定されています。

この公園には、数十年にわたって様々な飾りつけが施されてきました。蝶のためのプールやミニチュアの観覧車など、ユニークな装飾が訪れる人々を楽しませています。

近年では、以下のような出来事がありました。

2001年：セント・パトリックス・デイに、レプラコーンや四葉のクローバーで飾り付け
2006年：道路工事のため一時的に移設、後に元の場所に戻る
2011年：ポートランドデモの一環として、プラスチック製の軍人のフィギュアで飾られる
2013年：木が盗まれる事件が発生、後に返却される
2013年：イギリスの公園関係者から、世界一小さい公園の称号を巡り挑戦を受ける
2018年：公園に看板が設置され、ミニチュアローズが植えられる
2019年：木が切り倒される事件が発生、すぐに代わりの木が植えられる
2022年：道路整備のため60センチメートル移動、新しい看板が設置される

現在

長年「世界一小さな公園」として親しまれてきたミル・エンズ公園ですが、2025年2月に静岡県長泉町にある別の公園がギネス世界記録に認定されたため、その称号は譲ることになりました。しかし、ポートランドの住民にとっては、今も特別な存在であり続けています。

まとめ

ミル・エンズ公園は、その小ささだけでなく、ユニークな歴史と、地域住民に愛される物語を持った公園です。ポートランドを訪れた際には、ぜひこの小さな公園に立ち寄ってみてください。

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