ミレニアム・ドーム

ミレニアム・ドームからThe O2へ

ミレニアム・ドームは、イギリスのミレニアムプロジェクトの一環として、2000年を記念して建設されました。当初は展覧会「ミレニアム・エクスペリエンス」を開催するために作られましたが、その後、大規模な再開発を経て、現在は複合エンターテイメント施設「The O2」として生まれ変わりました。

構造

ミレニアム・ドームは、単一の屋根を持つ構造物としては世界最大級の規模を誇ります。12本の黄色いマストからケーブルで吊り下げられた巨大な天幕が特徴で、その直径は365メートルにも及びます。これは1年365日を象徴しており、ドームの構造自体が時間と暦を意識したデザインとなっています。設計は著名な建築家リチャード・ロジャース卿が担当し、構造設計はビューロー・ハッポルド社が手掛けました。膜構造の屋根は、軽量化を徹底的に追求し、内部の空気よりも軽いという特徴を持ちます。テフロンでコーティングされたガラス繊維製の天蓋は、耐候性に優れており、長期間にわたってその美しさを保っています。

ミレニアム・エクスペリエンス

ミレニアム・ドームは、その建設当初、博覧会「ミレニアム・エクスペリエンス」の会場として使用されました。この博覧会では、「Who we are」「What we do」「Who we live」をテーマとした様々なパビリオンが設けられ、多くの来場者を楽しませました。

歴史

ミレニアム・ドームの建設は、1994年にミレニアム委員会が発足したことから始まりました。1996年に建設地がグリニッジ半島に決定し、1998年に着工、1999年9月に竣工しました。2000年1月1日に一般公開されましたが、当初の目標来場者数には届かず、同年12月31日に閉鎖されました。その後、2005年にアンシュッツ・エンターテイメント・グループが命名権を取得し、大規模な再開発が行われました。そして、2007年6月24日に「The O2」として再開業しました。再開業時には、ボン・ジョヴィのライブがO2アリーナのこけら落とし公演を飾りました。

再開発とThe O2

再開発によって生まれ変わった「The O2」は、コンサートホール、映画館、レストラン、バーなどを備えた複合エンターテイメント施設となりました。また、施設内ではジェム・ファイナー作曲の「ロングプレイヤー」という、1000年かけて演奏される楽曲が2000年1月1日から演奏され続けており、2999年12月31日まで演奏される予定です。

環境への配慮とランドマークとしての役割

ミレニアム・ドームの建設は、単なるイベント会場の建設にとどまらず、グリニッジ半島の再開発という大きな目的も含まれていました。かつて工業地帯であったこの地域は、汚染された土地を浄化し、新たなランドマークとして生まれ変わりました。ドームの巨大な天幕と12本の黄色いマストは、ロンドンの航空写真でもよく目立ち、その象徴的な姿は多くの人々に親しまれています。

ミレニアム・ドームは、その建設から再開発まで、様々な歴史を経てきました。その過程で、多くの困難や挑戦がありましたが、最終的にはロンドンを代表するランドマークの一つとして、新たな価値を生み出しました。

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