ミ・テレフェリコ

ミ・テレフェリコ：空を結ぶ都市交通

ミ・テレフェリコは、ボリビアの国営企業が運営する、ラパスとエル・アルトを結ぶ都市型ロープウェイ網です。2014年の開業以来、路線を拡大し続け、現在では世界最長の都市ロープウェイとして知られています。

設立の背景

ラパス都市圏は、アンデス山脈の標高3,600m以上の谷に位置するラパスと、標高4,100mのエル・アルトという超高地にあります。都市内の高低差が大きく、従来の公共交通機関は貧弱なバス路線のみで、慢性的な交通渋滞が課題でした。地下鉄などの建設も困難な状況の中、ロープウェイが抜本的な解決策として浮上しました。

1970年代からロープウェイ建設計画は存在しましたが、ミニバス運転手の生活や住民のプライバシー保護などの理由から、実現には至りませんでした。しかし、2012年、エボ・モラレス大統領がロープウェイ建設計画を議会に提出し、国費による建設が決定。オーストリアとスイスに本社を置くドッペルマイヤー・ガラベンタ・グループが建設を担当し、「ミ・テレフェリコ（私のロープウェイ）」と名付けられました。

第1期路線

2014年5月、最初の路線である赤色線が開業。ラパス中心部とエル・アルト東部を結び、所要時間を大幅に短縮しました。その後、黄色線、緑色線が開業し、第1期として合計10.0kmの路線網が完成。「世界最長の都市ロープウェイ」として注目を集めました。

ロープウェイの整備は、交通渋滞の緩和だけでなく、新たな観光名所としての側面も持ち合わせています。アンデスの山々を望む絶景は、多くの観光客を魅了し、ボリビアの新たな観光資源となりました。この成功を受けて、2015年には第2期線として8路線の建設が決定しました。

第2期路線

2017年以降、第2期路線の開業が始まり、2019年3月には銀色線が開業。ラパス市内を循環するルートが完成しました。第2期8路線のうち7路線が2019年3月までに開業し、総延長は30.2kmに達しました。しかし、モラレス大統領の辞任や新型コロナウイルスの影響により、茶色線の延伸区間と金色線の1期区間は、2023年現在も開業していません。

運行状況

各ゴンドラの定員は10名で、1時間あたり片道3,000人（一部路線は4,000人または2,000人）の輸送能力があります。第1期線開業時には、1日あたりの全線輸送人員が8～9万人とされ、第2期線着工の根拠となりました。

ミ・テレフェリコは、単なる交通手段としてだけでなく、都市の景観を変え、観光を促進する役割も果たしています。今後の路線拡大と、都市の発展への貢献が期待されています。

課題と展望

未開業区間の早期開通が望まれる一方で、運行コストや安全性、環境への影響など、解決すべき課題も存在します。しかし、ミ・テレフェリコは、ラパス都市圏の交通事情を改善し、市民生活の質を高める上で重要な役割を果たしており、今後の発展が期待されています。

まとめ

ミ・テレフェリコは、ボリビアのラパス都市圏における革新的な都市交通システムです。その成功は、他の高低差のある都市や、交通渋滞に悩む都市にとって、新たな交通手段の可能性を示唆しています。今後、ミ・テレフェリコがどのように発展し、都市の未来に貢献していくのか、注目されます。

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