ミーティア (ミサイル)

ミーティア (Meteor)

ミーティアは、欧州を代表する軍事技術企業MBDAが、複数国の共同開発によって生み出した先進的な長距離空対空ミサイルである。アクティブレーダーで目標を捉える視程外射程ミサイル（BVRAAM）に分類され、イギリス、ドイツ、スペイン、イタリアのユーロファイター、フランスのラファール、スウェーデンのグリペンといった主要戦闘機に搭載され、その航空優勢能力を強化している。

開発背景と要求性能

2000年に本格的に開発が始まったミーティアの主要な目標は、激しい電子妨害下でも、遠距離の複数の航空機やミサイルに対し高い命中精度で同時攻撃を行う能力を実現することにあった。これは、当時アメリカ企業がほぼ独占していた長距離空対空ミサイル市場に、ヨーロッパが独自の技術で挑戦する試みでもあった。特に、イギリス空軍が運用していたスカイフラッシュ・ミサイルの後継として選定され、英国からの具体的な性能要求に基づいて開発が進められた。公表された情報は少ないものの、従来のミサイルを上回る機動力や、目標の回避行動を困難にする広い「回避不能ゾーン」の実現が求められたと考えられている。その回避不能ゾーンは、当時の最新ミサイルであったアメリカ製AIM-120 AMRAAMの約3倍に達するという厳しい要求だったとされる。これは、ロシアが開発していたラムジェットエンジン搭載の長射程ミサイルR-77-PDに対抗することを強く意識した要求だった。ミサイルの機体サイズについては、ユーロファイターの機体下面に半ば埋め込む形で搭載できるよう、AMRAAMと同程度の大きさに収めるという制約の中で設計が行われた。

欧州共同開発の体制

ミーティア開発計画は、開発当初からヨーロッパ各国の軍需産業の連携と強化を目的としていた。MBDA社を中核とし、複数の国の企業が技術的な貢献やリスク分散のために開発チームに加わった。この共同開発体制を通じて、ヨーロッパは長距離空対空ミサイルという重要な分野で、国際市場における競争力を獲得した。

派生型の検討と日英協力

JNAAM: 将来的にF-35戦闘機の内部ウェポンベイ搭載を目指し、制御翼を短縮するなどの改良型「JNAAM（Joint New Air-to-Air Missile）」がMBDAによって検討された。このJNAAMに関する研究は、日本とイギリスが共同で進めた。特に、ミサイルのシーカー（誘導装置）に日本の技術を適用した場合の性能評価シミュレーションが2014年に開始された。研究は段階を経て進み、2018年からは「JRP（Joint Research Programme）」として、日本製の高性能シーカー試作品とミーティア本体を組み合わせた研究用ミサイルを用いた実射試験などが日英共同で実施された。しかし、2023年に防衛装備庁より、試射をもってこのJRPが終了したことが発表されている。
対レーダーミサイル型: 2001年には、対レーダーミサイルとしての派生型も検討されたが、こちらは開発には至っていない。

主な運用国

ミーティアは以下の国々の空軍で、主要な戦闘機に搭載されて運用されている。

イギリス（ユーロファイター）
ドイツ（ユーロファイター）
ギリシャ
インド
イタリア（ユーロファイター）
スペイン（ユーロファイター）
フランス（ラファール）
カタール
* スウェーデン（グリペン）

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