ミートローフ (歌手)

ミートローフ(本名マーヴィン・リー・アーディー)は、1947年9月27日、アメリカ合衆国テキサス州ダラス生まれのロックシンガー、俳優です。約60年に及ぶキャリアの中で、類まれな才能を発揮し、世界的な成功を収めました。

少年時代はアメリカンフットボールに打ち込み、その体格から「ミートローフ」のニックネームが付けられました。1970年代初頭には、ミュージカル『ヘアー』への出演や、オフ・ブロードウェイ作品への出演など、俳優としての活動も開始。モータウンのサブレーベルからアルバム『Stoney & Meatloaf』で歌手デビューを果たしました。

70年代半ばには、ジム・スタインマンとの出会いが彼のキャリアを大きく変えます。スタインマンの楽曲提供、トッド・ラングレンのプロデュースによる1977年のアルバム『地獄のロック・ライダー』は、全米、全英チャートでロングヒットを記録。特にイギリスでは9位、アメリカでは14位にランクインし、世界的な成功を収めました。このアルバムからは「66％の誘惑(Two Out Of Three Ain't Bad)」がシングルカットされ、ビルボードシングルチャートで11位を記録するヒットとなりました。『地獄のロック・ライダー』は、2005年には世界で最も売れたアルバムCDの6位(3700万枚)にランクインし、現在までに約4300万枚を売り上げるなど、彼の代表作として長く愛されています。

その後、スタインマンとの間に不和が生じながらも、彼はスタインマンの楽曲を次々と発表し続けました。1993年には『地獄のロック・ライダーII〜地獄への帰還』を発表。このアルバムはビルボードアルバムチャートで1位を獲得し、シングルカットされた「愛にすべてを捧ぐ(I'd Do Anything For Love (But I Won't Do That))」も全米シングルチャートで1位を記録、1993年のグラミー賞を受賞しました。これにより、彼の音楽的才能は改めて世界中に認められることになります。

俳優としても活躍し、1999年の映画『ファイトクラブ』でのロバート・ポールスン役など、65本以上の映画に出演。近年では『マイフレンドメモリー』などにも出演し、幅広い分野で活躍しました。

パワフルな歌声と、ヘヴィメタルを思わせるような『地獄のロック・ライダー』などの曲調やジャケットデザインとは対照的に、彼の音楽は、ジム・スタインマンのピアノ演奏、多彩な演奏、コーラスワークを基調としたロック・オペラとして高く評価されています。「Q誌の選ぶ歴史上最も偉大な100人のシンガー」において、90位に選出されています。

私生活では、前妻との間に生まれた娘、パール・アーディーはスラッシュメタルバンドアンスラックスのギタリスト、スコット・イアンの妻であることでも知られています。

2022年1月20日、74歳で逝去。新型コロナウイルス感染が報道されました。彼の音楽と俳優としての功績は、音楽史、映画史に大きな足跡を残しました。彼の残した膨大な作品群は、これからも世界中のファンに愛され続けることでしょう。

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