ミート・ザ・ビートルズ

『ミート・ザ・ビートルズ』は、1964年1月にアメリカで発売されたビートルズのアルバムです。アメリカにおける彼らの最初のアルバムとして、大きな成功を収め、その後のアメリカでのビートルズ人気を決定付けるものとなりました。

このアルバムは、それまでアメリカでビートルズの楽曲をリリースしていたヴィージェイ・レコードではなく、キャピトル・レコードから発売されました。そのため、イギリスで発売されていたアルバム『ウィズ・ザ・ビートルズ』からの選曲を中心に、アメリカ市場向けに構成されています。『プリーズ・プリーズ・ミー』がアメリカでリリースされていなかったため、事実上のアメリカにおけるデビューアルバムとなりました。

アルバムには、「抱きしめたい」などのヒット曲が収録されており、アメリカで大きな話題を呼びました。楽曲の選定や構成はイギリス盤とは異なり、アメリカ音楽業界の慣習に合わせた編集が施されています。具体的には、ヒット曲を収録することでアルバムの販売枚数を伸ばすこと、アルバム収録曲数を12曲程度に留めることなどが挙げられます。これは、当時アメリカで主流だったアルバムの形態やマーケティング戦略を反映したものです。この編集方針は、1966年の『リボルバー』まで続けられましたが、メンバーはこうした編集に不満を持っていました。そのため、『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』からは、英米両国で同一のアルバムがリリースされるようになりました。

『ウィズ・ザ・ビートルズ』に収録された14曲のうち、5曲は『ミート・ザ・ビートルズ』には収録されていません。これらの曲は、後に『ザ・ビートルズ・セカンド・アルバム』としてリリースされました。

『ミート・ザ・ビートルズ』は、アメリカでのチャートでも大成功を収めました。『ビルボード』誌のアルバムチャートで11週連続1位を獲得し、1964年度年間ランキングでは8位、1965年度年間ランキングでは31位にランクインしました。『キャッシュボックス』誌でも11週連続1位を獲得し、1964年度年間ランキングでは1位に輝いています。アメリカだけで500万枚以上の売上を記録し、プラチナ認定を受けています。

このアルバムは、イギリス盤アルバムがCD化された際には廃盤となっていましたが、2004年に発売されたボックスセット『The Capitol Albums Vol.1』でモノラルとステレオ両方のバージョンが初めてCD化されました。また、ローリング・ストーン誌の選ぶオールタイム・ベストアルバム500において、59位にランクインしています。

アルバムには、ジョン・レノン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スターの4人が参加しています。制作には、プロデューサーとしてジョージ・マーティンも関わっています。演奏には、ボーカル、ギター、ベース、ドラムだけでなく、ピアノ、ハーモニカ、タンバリンなど様々な楽器が使用されており、ビートルズの音楽的多様性が感じられます。

『ミート・ザ・ビートルズ』は、ビートルズの音楽史における重要な作品であり、アメリカでの彼らの成功を象徴するアルバムです。その後のアメリカにおける音楽シーンにも大きな影響を与え、ロック史に名を残す作品と言えるでしょう。アメリカでのビートルズ人気を確固たるものにした本作は、彼らの音楽性とアメリカ音楽界の動向を理解する上で、欠かせない一枚となっています。

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