ミール (決済システム)

ロシア発の決済システム「ミール」

ミール（Mir）は、ロシア連邦が開発した独自の決済システムであり、同名のクレジットカードやデビットカードも指します。支払いはロシア・ルーブルで行われ、当座貸越に対応したカードも利用可能です。このシステムは、国民決済カードシステム（NSPK）によって運営されており、ロシア国内の決済市場で重要な役割を果たしています。

ロシア国内での普及

ミールは、ロシア国内において急速に普及が進んでいます。2021年12月時点で、発行枚数は全カードの約32.3％、取引量では約25.2％を占めています。2022年6月には、発行枚数は1億2900万枚を超えました。さらに、2021年6月の調査では、ミールを主要なカードとして利用する回答者が42％に達し、VisaやMastercardを上回る普及率を示しました。

システムの歴史

ミールは、2014年7月23日に設立された国民決済カードシステム（NSPK）によって開発されました。2015年4月には、全ロシア創作コンクールで「ミール」という名称と地球儀をデザインした商標が選ばれました。2022年1月には、大手小売業ワイルドベリーズが、ミールカードによる決済が競合他社を上回ったと報告しています。

NSPKは、Mastercard、銀聯、JCB、アメリカン・エキスプレスと提携し、共同カードを発行しています。これにより、ロシア国内ではミールカードとして、海外では各提携先の決済システムとして利用できるようになっています。ただし、2022年以降の対ロシア制裁により、多くの共同契約は事実上無効となっていますが、銀聯や旧ソ連のシステムとの提携は継続されています。

利用のメリット

ロシア国内では、ミールカードはすべてのATMで手数料なしで再入金が可能です。また、すべてのPOS端末で利用できます。さらに、ミールペイ、Samsung Pay、SberPayといったモバイル決済システムにも対応しており、Androidスマートフォンでの決済が可能です。一時的にApple Payにも対応していましたが、現在は利用できません。ロシア国内のすべての決済アプリケーションは、2023年10月までにミールカードとの統合が義務付けられています。決済システム自体も、割引キャンペーンを頻繁に実施しています。

海外での利用

2022年6月現在、ミール決済システムは、以下の国々で利用できます。

アブハジア
南オセチア
アルメニア
ベラルーシ
キルギス
ベトナム

これらの国々では、ATMでの現金引き出しや、商品・サービスの支払いにミールカードを利用できます。特に、ユーラシア経済連合の決済システムとの相互協定により、利用可能な地域が拡大しています。

まとめ

ミールは、ロシア国内で急速に普及している決済システムです。多くの場所で利用可能であり、便利な決済手段として生活に浸透しています。また、海外でも利用可能な地域があり、その範囲は拡大を続けています。今後も、ロシア国内を中心に、決済システムとしての重要性を増していくことが予想されます。

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