ミ23船団

ミ23船団の歴史

概要

ミ23船団（ミ23せんだん）は、1944年10月に日本本土からボルネオ島ミリへ石油を運ぶために設計された護送船団です。この船団は、台湾海峡でアメリカの潜水艦の攻撃を受けてタンカー2隻を失い、その後状況が悪化する中、最終的に目的地をシンガポールに変更しました。特筆すべきは、潜水艦タングが自己の発射した魚雷により沈没し、この戦闘における唯一の日本の成果として位置付けられている点です。

背景

日本にとって、太平洋戦争中の石油供給は戦略的に非常に重要でした。特に、占領下にある東南アジアからの輸送ルートの確保は国家の存続に寄与しました。日本は、シンガポールと門司をつなぐヒ船団や、ボルネオ島ミリと門司をマニラ経由で結ぶミ船団の2種類を用意し、シーレーンの防衛を図りました。しかし、アメリカの潜水艦の攻撃を受けて多くの被害を出し、自然とその状況は厳しさを増していきました。

1944年10月、アメリカ海軍はレイテ島への上陸を控えた状態で、海上での緊張が高まっていました。日本海軍の航空部隊も台湾沖航空戦での敗北により弱体化し、日本の艦隊や船団が再編成される中、彼らの護衛機能が薄れる事態が続いていました。ミ23船団は、このような困難な環境下で出発準備が進められました。

航海の経過

早い段階で、ミ23船団は予想以上の困難に直面しました。出航準備が整ったのは10月15日で、翌日の出発を待っていました。彼らはできるだけ低速での行動を選び、敵潜水艦の襲撃に備えました。10月18日に佐世保を出港し、伊万里湾での仮泊を経て日本本土を離れました。

船団は、アメリカの潜水艦の襲撃を警戒しながら、大陸沿岸の浅い水域を慎重に進みました。特に台湾海峡の通過が大きなリスクを伴っていると認識されていましたが、ここで潜水艦タングが密かに待ち伏せしていました。10月25日、ついにタングがミ23船団に対して攻撃を仕掛けてきました。

潜水艦タングによる魚雷攻撃によって、タンカー江原丸が沈没しました。さらに、松本丸も損傷を受け、航行不能に陥りました。この時、タング自身が誤って自身の発射した魚雷で沈没するという珍しい事態を引き起こしました。

生き残った船団は、10月27日に馬公に到着しました。馬公での間に新たな輸送船が加わり、船団は9隻体制でシンガポール行きの航海を続けました。ここでも敵の航空機による攻撃を受けましたが、大きな損害はありませんでした。最終的にミ23船団は、11月12日にシンガポールに無事到着しました。

結果

ミ23船団は、目的地であるミリに到達することができなかったものの、2隻の喪失に留まったのは幸運な結果と言えます。以降も、同様の航路を示した他の船団がありましたが、最終的な目的地にたどり着いたのはごく僅かでした。タングは、この戦闘においての唯一の敵潜水艦沈没という事例を形成し、ミ23船団の戦闘史に名を刻みました。

編制

出航当初、ミ23船団は以下のように編成されていました。

• - 輸送船:

- 特設工作艦白沙（嚮導船）
- その他多数のタンカーや貨物船

• - 護衛艦:

- 第14号海防艦、第20号海防艦、第34号海防艦、第38号海防艦、第46号海防艦

このようにミ23船団は、戦局の厳しさに直面しつつも、歴史の一端を担った船団としての役割を果たしました。

もう一度検索