ムィコラーイウの戦い

ムィコラーイウの戦い：ウクライナ南部防衛の要

2022年2月26日から3月24日にかけて、ウクライナ南部、黒海に面する重要な港湾都市ムィコラーイウで激しい戦闘が繰り広げられました。この戦いは、ロシアによるウクライナ侵攻における南部攻勢の一環であり、ウクライナ軍が勝利を収めました。

ムィコラーイウは、黒海沿岸に位置する戦略的に重要な都市であり、造船業が盛んです。特に、南ブーフ川に架かる唯一の恒久橋は、オデッサへ進むための重要な拠点と見なされていました。ロシア軍は、この都市を占領し、オデッサへの足掛かりを築こうとしましたが、ウクライナ軍と市民による激しい抵抗に遭いました。

戦闘の経過

2月26日午後、ロシア軍の戦車部隊がドニエプル川のカホフカを突破し、ムィコラーイウへ向かいました。これに対し、ムィコラーイウ州知事ヴィタリー・キムは、市民にバリケードの準備と防衛への参加を呼びかけました。市街地では激しい戦闘が繰り広げられ、南ブーフ川周辺で特に激戦となりました。一時、ロシア軍は市内の一部を占拠しましたが、ウクライナ軍の反撃により撃退されました。翌朝には、ロシア軍は市内から完全に追い出されたと発表されました。

しかし、2月28日には、ロシア軍はヘルソン方面から再びムィコラーイウに侵攻し、攻撃を開始しました。3月1日には、ムィコラーイウ近郊のバシュタンカで、ロシア軍の部隊がウクライナ軍によって撃破されました。3月2日には、ヴォズネセンスクでもウクライナ軍がロシア軍部隊を撃破しています。これらの戦闘で、ロシア軍は都市への進軍を阻まれました。

また、ウクライナ海軍は、3月3日以前にムィコラーイウ港で、自軍の旗艦であるフリゲート「ヘーチマン・サハイダクニー」を自沈させました。これは、ロシア軍による鹵獲を防ぐための措置でした。3月4日には、ロシア軍が市街地から撤退しましたが、その後も反撃を試み、市街地への砲撃が繰り返されました。

3月7日には、ロシア軍の空爆により、ウクライナ軍の兵舎が直撃され、多数の死傷者が出ました。しかし、ウクライナ軍はムィコラーイウ国際空港を奪還し、市民の避難経路を確保しました。その後も、市街地では激しい戦闘が続き、戦車戦も発生しました。ウクライナ軍は、ロシア軍の攻撃を撃退し続けました。

3月11日、ウクライナ軍はロシア軍を市の東へ15～20キロメートル押し戻し、降伏交渉をしていた一部部隊を包囲しました。3月12日には、病院や診療所が爆撃され、3月13日にはガスタービン工場も攻撃されました。市内の主要な給水パイプラインが損傷したことで、深刻な水不足が発生しました。

市民の抵抗と防衛

ムィコラーイウの防衛戦では、ウクライナ軍だけでなく、市民も積極的に参加しました。市内の至る所にバリケードが築かれ、古いタイヤを燃やして煙幕を作り、ロシア軍の進軍を妨害しました。ヴィタリー・キム知事はSNSを通じて市民を鼓舞し、団結を促しました。また、監視ドローンを活用し、ロシア軍の動向を把握しました。

戦いの後

3月16日、ニューヨーク・タイムズは、市内の遺体安置所に132人の遺体が収容されていると報じました。3月18日には、ロシア軍のミサイルが兵舎を直撃し、多数の兵士が犠牲となりました。3月29日には、州庁舎がミサイル攻撃を受け、35人以上が死亡しました。

4月に入ると、ロシア軍はムィコラーイウ地域からほぼ撤退しましたが、砲撃は継続しました。市内の給水システムは大きな被害を受け、市民は川や寄付に頼る生活を余儀なくされました。5月5日、ロシア国防省は、ムィコラーイウの弾薬庫を破壊したと発表しました。

ムィコラーイウの戦いは、ウクライナ軍と市民が協力して侵略者を撃退した象徴的な出来事となりました。この都市は、ウクライナ南部防衛の要として、その重要性を証明しました。

関連項目

ヘルソンの戦い
ムィコラーイウ州庁舎への爆撃

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