ムシチスワフ県

ムシチスワフ県の歴史と背景

ムシチスワフ県（ムスチスラヴァス県）は、1566年にリトアニア大公国の一部として設置され、その後ポーランド・リトアニア共和国に移行しました。この県は1772年に消滅するまで、重要な政治的および文化的中心地として存在していました。

前史

ムシチスワフ県が存在した地域は、分領制時代にリューリク朝のスモレンスク公国に属しており、その後、スモレンスク公ロスチスラフによって1130年代にムシチスワフとして知られる都市が建設されました。この都市の名前は彼の父、ムスチスラフに由来しています。12世紀末には、ムシチスワフを中心とするムスチスラヴリ公国が形成され、こちらもスモレンスク公国からの分領公国です。

1358年には、ムスチスラヴリ公国はゲディミナス朝のリトアニア大公国に統合され、これ以降はリトアニアの統治下に置かれました。1527年には公国が廃止され、スタロストヴォとなり、その後1566年にはムシチスワフ県が設立されました。

県の設置と輸入

ムシチスワフ県が設立された3年後には、ルブリン合同によりリトアニア大公国がポーランド王国と合併し、ポーランド・リトアニア共和国が誕生しました。この新しい政体のもとで、ムシチスワフ県は東方のロシア国家と接し、その防衛として要塞都市の強化が進められました。行政面では、県内に郡は設置されず、各国会や裁判所に2名ずつが派遣される体制が整いました。ただし、元老院においての県知事の地位はあまり高くないものでした。

また、県章には赤い背景に騎士の意匠が描かれ、軍旗には黄色が使われました。県域では正教会が主流でありましたが、1601年のブレスト合同以降、正教会の聖職者もカトリックに従うようになりました。さらに、17世紀にはカトリックの小教区も設置されました。

戦争と県の消滅

17世紀の半ばになると、ムシチスワフ県は約11万人の人口を抱えていましたが、1654年にロシア・ポーランド戦争が勃発し、県都ムシチスワフはロシア軍に占領され、多くの被害を受けることになりました。この戦争の影響で避難しなかった多くの市民が命を落としました。

1772年には第1次ポーランド分割が行われ、ムシチスワフ県全域が帝政ロシアに組み込まれ、結果としてこの地域は消滅しました。しかし、ポーランド・リトアニア大公国自体が名目上存続する間は、県知事が任命され、地元の貴族からも議員が選出され続けました。さらに、帝政ロシアでは、ムシチスワフ県域にモギリョフ県が設置され、県都であったムシチスワフはモスツィスラウ郡の中心地として新しい役割を持つこととなります。

まとめ

ムシチスワフ県は、その長い歴史と複雑な政治的背景を持つ重要な地域でした。この県が消滅した後も、その歴史的な影響は周辺地域に残り続けています。

もう一度検索