リューリク朝

リューリク朝の歴史とその影響

リューリク朝は、9世紀から16世紀半ばにかけて、主に東欧の国々を統治した公家のことを指します。この朝の始まりは伝説の中のノルマン人リューリクにまで遡ります。803年、ロシアの部族間で秩序が乱れていたため、彼らはバリャーグのルーシに使者を送り、統治をお願いしました。これを受け、リューリクとその兄弟3人がロシアに入り、統治を始めました。

リューリクはスラヴの町ノヴゴロドを支配し、そして新たにキエフの統治者として自らの幼い息子イーゴリを立てました。彼の参謀オレグ公がキエフ大公国を建国し、その後、イーゴリが統治を引き継ぐこととなります。

次に、イーゴリの息子スヴャトスラフ1世が登場し、キエフ大公国の版図を大いに拡張しました。スヴャトスラフ1世以外の几人のキエフの支配者については、半伝説的な存在であり、主に『ルーシ年代記』にのみ記録されています。従って、スヴャトスラフ1世はリューリク朝の最初の実在の代表者ともいえるでしょう。

その後、スヴャトスラフ1世の息子ウラジーミル1世によって、リューリク朝は初めての支流に分かれました。この支流は彼の息子イジャスラフから派生したポロツク大公家の系譜を持ち、これが後のベラルーシの大公家につながっていきます。また、ウラジーミル1世のもう1人の息子、ヤロスラフ賢公の子孫もリューリク朝の支流を拡大させました。ヤロスラフ賢公の三男スヴャトスラフ2世からは、チェルニーヒウ大公家、ノヴゴロド・シヴェルスク大公家、ムロム・リャザニ大公家が誕生しました。さらに、四男フセヴォロド1世の子孫たちはモノマフ大公家につながり、そこからハールィチ・ヴォルィーニ大公家、スモレンスク大公家、スーズダリ大公家に分かれていきます。

12世紀から13世紀にかけて、リューリク朝の多くの支流間でキエフ大公国の支配権を巡る争いが繰り広げられました。これにより、ハールィチ・ヴォルィーニ大公家とスーズダリ大公家が力をつけ、ルーシでの最強の家柄となりました。しかし、1240年にモンゴルの侵略によってキエフ大公国は滅亡し、安全な地を求めた両家はその後の歴史に大きな影響を与えることになります。特に、ハールィチ・ヴォルィーニ大公家はルーシの王朝となり、他方でスーズダリ大公家はモスクワ大公国の基盤を築くことになりました。

1340年代にはハールィチ・ヴォルィーニの王朝が絶え、1598年にフョードル1世が亡くなると、モスクワのリューリク朝も断絶を迎えます。この断絶により、リューリク朝の嫡流は失われましたが、男系の家系は存続しました。その一つがシュイスキー家であり、アンドレイ2世の直系子孫が名を残しています。ただし、シュイスキー家の当主ヴァシーリー・シュイスキーが1606年にツァーリに即位するも、短命の政権を告げます。

その後、1613年に動乱時代の末期に設立されたロマノフ朝は直接の血縁関係にありませんでしたが、イヴァン4世の妃アナスタシア・ロマノヴナがロマノフ家の出身であったために、血統を引き継ぐ形でミハイル・ロマノフが帝位を継承しました。また、エカチェリーナ2世もリューリク朝のトヴェリ大公アレクサンドル・ミハイロヴィチの子孫です。このように、リューリク朝の影響や系譜はその後のロシアの歴史にも色濃く残っており、現在に至っても続いています。

リューリク朝の変遷は、当時の政治的状況や力関係、そして王権のあり方に深く関与し、東欧の歴史において重要な役割を果たしました。その系譜は今なお研究され、興味を引き続けています。

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