分領公国

分領公国とは：ルーシにおける権力分散と終焉

分領公国（ベラルーシ語: Удзельнае княства、ロシア語: Удельное Княжество、ウクライナ語: удільне князівство）は、12世紀から16世紀のルーシに存在した、大規模な公国が細かく分割された結果として生まれた政権・領域を指します。「分割」を意味する言葉が語源となっており、その名の通り、領土の細分化によって成立しました。

分領公国の実態：独立性と宗主権の狭間

分領公国には、独自の公（クニャージ）が立てられ、その支配下に置かれました。公式には、分割元の公国や大公国の権力下にあり、外交や戦争においては宗主国の意向に従う必要がありました。しかし、実際には、独自の貨幣、法制度、土地の支配権を有し、半ば独立国のような様相を呈していました。

分領公国成立の背景：遺産分割による領土細分化

分領公国の出現は、主に遺産としての土地の寄贈や譲渡による、土地の分割が原因でした。公（クニャージ）の死後、領土が息子たちに分割相続されることで、新たな分領公国が誕生しました。そして、それぞれの分領公国が、さらにより小さな分領公国へと分割されることもあり、領土の細分化が繰り返されました。

分領公国の終焉：中央集権化の波

分領公国の時代は、中央集権国家の形成によって終焉を迎えました。ロシアにおいては、ロシア・ツァーリ国の最後の分領公国であるウグリチ公国が、1591年にイヴァン4世の子ドミトリーの死後に廃止され、その歴史に幕を閉じました。一方、リトアニア大公国内では、18世紀末までいくつかの分領公国が存続していました。

分領公国の興亡は、ルーシにおける権力構造の変遷を物語るものであり、その歴史は、現代のロシア、ウクライナ、ベラルーシといった国家の成立にも影響を与えています。

参考文献

アレクサンドル・ダニロフ他 『ロシアの歴史（上）古代から19世紀前半まで』 寒河江光徳他訳、明石書店、2011年。

外部リンク

Удельное княжество//ソビエト大百科事典内の記事
«Удельное княжество» в Большом юридическом словаре
Терминология русской истории

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