ムスチスラフ2世

ムスチスラフ2世：キエフ大公、動乱の時代を生きた公

ムスチスラフ2世（生年不詳 - 1170年）は、キエフ大公として12世紀後半のルーシに影響を与えた人物です。父はイジャスラフ2世。息子には、後の南西ルーシで活躍するロマン大公がいます。

生涯

ムスチスラフ2世の記録は、1146年のラヴレンチー年代記に初めて登場します。当初はペレヤスラヴリ公として勢力を扶植し、1148年にはユーリー・ドルゴルーキーの子グレプを撃退するなどの軍事的功績をあげました。

1151年、父イジャスラフ2世を支援するためにハンガリー軍を率いましたが、ユーリー・ドルゴルーキーの同盟者であるガーリチ公ウラジーミルに敗北しました。その後もペレヤスラヴリ公として領地を保持し、1157年にはチェルニーゴフ公と共にユーリー・ドルゴルーキーに対し軍を向けました。しかし、この時ユーリーはキエフで死去しています。

1159年にはキエフを占領し、叔父であるスモレンスク公ロスチスラフをキエフ大公に据えました。1167年にロスチスラフが亡くなると、ムスチスラフはキエフに迎えられ、キエフ大公の座に就きます。

大公としては、1168年にポーロヴェツ族への遠征を主導しました。しかし、1169年にはアンドレイ・ボゴリュブスキーによるキエフ攻撃に耐えきれず、ウラジーミル・ヴォルィンスキーへ退却しました。1170年には再びキエフを短期間占領しますが、同年ウラジーミル・ヴォルィンスキーで死去しました。

家族

ムスチスラフ2世は、ポーランド王ボレスワフ3世の娘、アニェスカと結婚し、以下の子をもうけました。

ロマン（1152年 - 1205年）：ガーリチ公、キエフ大公
スヴャトスラフ：ベレスチエ公
* フセヴォロド（1196年没）

ムスチスラフ2世の生涯は、キエフ大公位を巡るリューリク朝内部の争い、周辺諸国との複雑な関係の中で、軍事力と外交手腕を駆使して勢力を維持しようとした時代の縮図といえるでしょう。

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