ムゼウムスインゼル

ムゼウムスインゼル：ベルリンの文化を凝縮した「博物館島」

ムゼウムスインゼル（Museumsinsel）は、ドイツの首都ベルリンの中心部、シュプレー川の中州に位置する地域です。ブランデンブルク門から東に延びるウンター・デン・リンデン通りを境に、その北側がムゼウムスインゼルと呼ばれます。この一帯には、ベルリン美術館（Staatliche Museen zu Berlin）を構成する複数の重要な美術館や博物館が集まっていることから、「博物館島」とも称されています。その文化的価値から、ユネスコの世界遺産（文化遺産）にも登録されています。

歴史

ムゼウムスインゼルの歴史は、19世紀初頭に遡ります。元々この地域は住宅地でしたが、1830年に旧博物館が建設されたことを契機に、フリードリヒ・ヴィルヘルム4世がこの地を「芸術と科学」の中心地と定めました。その後、次々と博物館が建設され、現在の博物館島へと発展しました。第一次世界大戦後、プロイセン文化財団が博物館の運営を引き継ぎ、第三帝国時代には美術館を結ぶ回廊が設置されました。第二次世界大戦中には、収蔵品が各地に分散され、施設も一部が空襲で被害を受けましたが、戦後、東ドイツ領となったムゼウムスインゼルは東ドイツの国立博物館となりました。

東西ドイツ統一後、美術館の再編・改修が進められ、一部コレクションは新ナショナルギャラリーや絵画館に移されましたが、19世紀の絵画は旧国立美術館に統合されました。現在では、古代のイシュタル門やペルガモンの大祭壇など、世界的に貴重なコレクションが展示されています。

ムゼウムスインゼルの美術館と博物館群

ムゼウムスインゼルには、以下の主要な美術館と博物館があります。これらはすべてベルリン美術館を構成しています。

旧博物館 (Altes Museum)

1830年にカール・フリードリッヒ・シンケルの設計で建てられた、博物館群の中で最も古い建物です。ギリシャ・ローマの芸術品が展示されています。

新博物館 (Neues Museum)

旧博物館の裏手に位置し、1859年に完成しました。第二次世界大戦で大きく損傷しましたが、2009年に再建され、エジプト美術や先史時代の遺物を展示しています。

旧国立美術館 (Alte Nationalgalerie)

1876年に完成し、19世紀の絵画や彫刻を展示しています。銀行家ヨアヒム・ヴァグナーの寄贈品がコレクションの中心です。

ボーデ博物館 (Bode Museum)

島の北端に位置し、彫刻美術やビザンティン美術を展示しています。2006年に再開館しました。

ペルガモン博物館 (Pergamon Museum)

5館の中で最も新しく、1930年に開館しました。古代ローマやオリエント美術を中心に、イシュタル門やペルガモンの大祭壇など、貴重な遺跡の発掘品を展示しています。

フンボルトフォーラム (Humboldt Forum)

2020年に再建されたベルリン王宮内に開館しました。ベルリン民族学博物館とアジア美術館を包含し、プロイセンの学者であるフンボルト兄弟にちなんで名付けられました。

世界遺産としての価値

ムゼウムスインゼルは、以下の登録基準を満たし、ユネスコの世界遺産に登録されました。

基準(2)：建築、技術、記念碑的芸術、都市計画、景観デザインの発展に関し、人類の価値の重要な交流を示すものであること。
基準(4)：人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積または景観の優れた例であること。


ムゼウムスインゼルは、その歴史的な重要性と文化的価値から、世界中の人々を魅了し続けています。ベルリンを訪れる際には、この「博物館島」を訪れることをお勧めします。

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