ムツヘタの歴史的建造物群

ムツヘタの歴史的建造物群

ムツヘタの歴史的建造物群は、ジョージア（グルジア）の古都ムツヘタに位置し、3つの重要なキリスト教建造物から成る世界遺産です。この地域はかつてイベリア王国の首都であり、グルジア正教会の中心地としても長い歴史を持つことから、1994年に世界遺産リストに登録されました。これにはバグラティ大聖堂とゲラティ修道院も含まれており、ジョージアにおける初の世界遺産となりました。2009年には管理面の問題から危機遺産リストに加えられましたが、2016年にはその深刻な状況が改善され、リストから除外されました。

歴史的背景

ムツヘタは、温暖な気候と肥沃な土壌に恵まれ、紀元前4世紀からイベリア王国の首都として栄えました。西暦334年、聖女ニノの強い影響により、ムツヘタはキリスト教の国教化が進み、最初の木造聖堂が建立されました。この時期がムツヘタの最盛期であったとされていますが、6世紀には首都機能がトビリシに移行しました。それでも、ムツヘタはグルジア正教の中心的な地位を維持し続けました。

登録対象建物

ムツヘタの世界遺産には以下の3つの主要な建築物があります。

スヴェティツホヴェリ大聖堂

スヴェティツホヴェリ大聖堂は、イベリア王国の国教化後に建設された著名な聖堂で、ジョージアの教会建築の中でも特に古いものであり、その規模も大きいです。名前は「生きた柱」を意味し、ニノの祈りによって柱が立ったという伝説が残っています。大聖堂は1010年から1029年に再建され、その後も多くの修復を経てきました。

サムタヴロ教会・修道院

サムタヴロ教会・修道院は、ニノが過ごしたとされる伝説のある地点に存在します。4世紀に最初の聖堂が建設され、11世紀に拡張され、各種の附属建物が16世紀から整備されました。この教会には、イベリア王ミリアン3世と王妃ナナの墓もあります。

ムツヘティス・ジワリ

ムツヘティス・ジワリ（ムツヘタ聖十字聖堂）は、丘の上に位置するプレハブで、ニノが十字架を設置した神聖な場所とされています。6世紀には、小さい聖堂から砂岩の大聖堂に建て直され、その建築スタイルはコーカサス地方に多くの影響を与えました。

世界遺産登録の経緯

当初の登録名は「ムツヘタの都市-博物館保護区」として推薦されましたが、名称の変更が求められ、2005年以降は現在の「ムツヘタの歴史的建造物群」という名称に定まっています。これは、地域の豊かな歴史と文化的価値を正確に反映するものとされています。

登録基準

この世界遺産は、以下の登録基準を満たしています。特に、文化的伝統の貴重な証拠として、その重要性が評価されています。さらに、コーカサス地域特有の教会建築様式としても評価され、歴史的な意義を持つとされています。

危機遺産としての経緯

登録当初はその管理に関する問題から危機遺産に登録されましたが、持続可能な管理策が整備される中で、2016年には危機遺産リストから除かれることとなりました。これは、ムツヘタの未来に対する期待を示すものです。

ムツヘタの歴史的建物群は、単に古い建物ではなく、重要な歴史を語り継ぐ文化財であり、世界中の人々が訪れるべき地点です。

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