ムフタール通り

パリ5区の活気あふれる通り：ムフタール通り

パリ5区に位置するムフタール通り（Rue Mouffetard）は、605メートルに及ぶ歴史と活気に満ちた通りです。古くから続く伝統と現代の多様な文化が融合し、独特の雰囲気を醸し出しています。

歴史の重層：古代ローマから現代へ

ムフタール通りの歴史は古く、古代ローマ時代にはケタリウス山(Mons Cetarius)と呼ばれる山の脇を通る道として存在していました。通りの名前の由来もこの山に遡り、「ムフタール」という名称は、時代を経て様々な変化を遂げてきました。モンフェタール、モーフタール、モフタール、ムフタール、ムフラール、モフタール、モフタール、モスタールなど、様々な表記で呼ばれてきた歴史があります。さらに、サン＝マルセル通り、フォーブール・サン＝マルソー通り、ヴィエイユ・ヴィル・サン＝マルセル通りといった名称も用いられていました。

中世には、通り沿いに建つ教会がサン＝メダール村の中心として栄え、1724年にパリに編入された後は、フォーブール・サン＝メダール通りという主要道路となりました。サント＝ジュヌヴィエーヴ山（サント＝ジュヌヴィエーヴの丘）の近接という地理的条件が幸いし、オスマン男爵によるパリ改造の際に大規模な改修を免れ、歴史的な街並みを現在も残しています。

文化とグルメの交差：多様なレストランと市場

ムフタール通りは、多様な文化が交差するグルメの街としても知られています。フランス料理を筆頭に、レバノン料理、ペルシャ料理、ベトナム料理、日本料理など、世界各国の料理を提供するレストランやビストロ、ブラッスリー、カフェが軒を連ねています。新鮮な食材を扱う市場も豊富にあり、活気あふれる下町ならではの賑わいを見せています。散策しながら、多様な料理や文化に触れることができる魅力的な通りです。

著名人とゆかりの地：芸術と文学の足跡

ムフタール通りには、多くの著名人とゆかりのある場所が存在します。有名な建築家シャルル・ガルニエ（ガルニエ宮＝オペラ座の設計者）は、この通り周辺で生まれ育ちました。また、詩人ポール・ヴェルレーヌは、ムフタール通り39番地で生涯を閉じました。現在は、彼の名を冠したレストランになっています。その隣、37番地には、日本の作家辻邦生が1980年から1999年にかけて居住・滞在しており、両者にはそれぞれ記念プレートが設置されています。

さらに北へ進むと、デカルト通りに接続し、パンテオンやサン＝テティエンヌ・デュモン教会といった歴史的建造物へと繋がっています。

まとめ：歴史と活気と文化の融合

ムフタール通りは、古代ローマ時代から続く歴史、多様な文化とグルメ、そして著名な芸術家や文学者とのつながりを持ち合わせた、パリを代表する魅力的な通りです。歴史的な街並みを散策しながら、活気あふれる市場や個性豊かなレストランを訪れ、パリの下町文化を満喫できる場所と言えるでしょう。

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