ムルシア州

ムルシア州の概要

ムルシア州（ムルシアしゅう）は、スペインの構成自治州で、ムルシア県一つから成り立っています。州都はムルシア市で、南東の地中海に面しています。この地域はアンダルシーア州、カスティーリャ＝ラ・マンチャ州、バレンシア州に囲まれ、温暖な気候が特徴で、果物や野菜、花卉などの農業が盛んです。ムルシア州の農産物は、国内だけでなくヨーロッパ各国にも輸出されています。

歴史

ムルシアの歴史は古く、現在のカルタヘナの地は昔、カルタゴ人によって貿易拠点が築かれていました。ローマ時代には「カルタゴ・ノヴァ」として知られ、属州ヒスパニア・タラコネンシスに組み込まれました。重農業が盛んだったイスラム支配下では、灌漑技術が導入され、農業が飛躍的に発展しました。11世紀には後ウマイヤ朝の衰退に伴い、ムルシア王国が形成され、周辺の都市もその領域に含まれていました。

レコンキスタの時代、1243年にはカスティーリャ王フェルナンド3世によって征服され、以降ムルシアはカスティーリャに属します。彼の後継者のアルフォンソ10世は、ムルシアを行政上の理由から三つに分割しました。1264年にはイスラム教徒の反乱が起き、アラゴン王に鎮圧される事件もありました。1304年にはこの地は再びカスティーリャ王国に返還され、以降、ムルシア王国は表向きは存続しましたが、1833年に県制が導入されると、現在のムルシア県が設置されました。

地理

ムルシア州はベティコ山系の東側に位置し、約27%が山地で、38%が準山地や谷間、残り35%が平地や台地で構成されています。州内の最高峰として長らくレボルカドーレス山（標高2027m）が知られていましたが、最近の調査でその標高は実際には1999mであり、近隣のロス・オビスポス山（2015m）の方が高いことが明らかになりました。

気候

ムルシア州は乾燥した地中海性気候で、年間の平均降水量は300mmから350mm程度です。夏は特に乾燥し、最高気温が40℃を超えることも珍しくなく、冬でも温暖さが保たれています。全体的に晴天が多いのも特徴です。1994年には47.2℃を記録し、国内最高気温を記録するなど、厳しい気候条件も報告されています。

水文

主要な河川はセグラ川で、その支流にムンド川やムラ川などがありますが、水資源は限られています。近隣のタホ川流域からの水供給が頼りとされています。地中海に近いマール・メノールは、ヨーロッパ最大の海水湖として知られ、独特の自然環境を有し、国連によって保護地区に指定されています。

経済

2012年の経済危機はムルシア州にも影響を及ぼし、自治州政府は資金調達に苦慮しました。これにより、他の地域同様に中央政府からの支援を求める事態にまで至りました。

自治体

州の人口は約130万人で、46の基礎自治体に分かれています。特に州都ムルシアには約424,362人が暮らし、次いでカルタヘナがその約6分の1を占めています。議会はカルタヘナに所在し、地域の意思決定に影響を与えています。

交通

ムルシア地域には、南東のサン・ハビエルに設置されたムルシア＝サン・ハビエル空港があります。また、カルタヘナ港や鉄道路線が州内各地と結ばれ、交通の便も整っています。

言語

ムルシア州では特有の方言が話され、独自のアクセントと語彙が特徴的です。エル・カルチェ地方ではバレンシア語が使われるなど、地域毎に異なる言語的特徴があります。

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