ムーミン谷のなかまたち

『ムーミン谷のなかまたち』

『ムーミン谷のなかまたち』は、フィンランドとイギリスの共同制作によって生まれたテレビアニメーションシリーズです。北欧の作家トーベ・ヤンソンとラルス・ヤンソンの手による、世界中で愛される「ムーミン・シリーズ」を原作としています。フィンランド国営放送YLE、イギリスのSky、そしてガッツィ・アニメーションが共同で制作を手掛けました。日本では、NHK BS4Kで2019年4月からシーズン1が、2020年1月からシーズン2が放送されました。その後、2021年11月からはNHK Eテレでもシーズン1の放送が開始され、幅広い視聴者に届けられています。

制作の特徴と背景

本作の監督は、著名なクレイアニメ作品『ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ!』を手掛けたスティーブ・ボックスが担当しています。アニメーション制作は、フィンランドのアニマスタジオが担いました。特筆すべきは、その大規模な制作規模です。YLE制作のテレビ番組としては過去最高額となる2000万ユーロ、日本円にしておよそ25億円という巨額の費用が投じられました。この潤沢な資金は、作品の世界観を豊かに表現するために活かされています。

また、本作は独特な映像表現を採用しています。伝統的な2D手書きアニメーションの風合いと、現代的な3Dアニメーション技術を融合させることで、温かみがありつつも奥行きのあるビジュアルを実現しました。プロデューサーのジョン・ウーリーによれば、この手法はスタジオジブリの『かぐや姫の物語』における手書きアニメの技法や、ディズニーの短編『紙ひこうき』で用いられた手書きと3Dの融合からインスピレーションを得ています。制作資金の一部は、Indiegogoでのクラウドファンディングによって調達されました。2017年のキャンペーンでは、目標額の20万ドルを大きく超える約25万ドルが集まり、ファンからの期待の高さがうかがえます。

音楽面も本作の大きな魅力の一つです。オープニングテーマは「ムーミン」が歌唱しており、各エピソードには、北欧やヨーロッパで活躍する様々なアーティストが書き下ろしたオリジナル楽曲が使用されています。これらの楽曲は、それぞれの物語の雰囲気やテーマに合わせて制作され、作品世界をより一層深く彩っています。

その質の高さは評価にもつながっており、2020年には第14回声優アワードにおいて、ファミリー向けの優れた作品に贈られるキッズ・ファミリー賞を受賞しています。

主な登場人物と声優

ムーミン谷に住む個性豊かなキャラクターたちが物語を織りなします。日本版で声を担当している声優陣も豪華です。

ムーミントロール: 物語の中心人物。好奇心旺盛で冒険が好きですが、寂しがり屋な一面も。声：寺島惇太。
ムーミンママ: ムーミン一家の母親。落ち着いた性格で、どんな状況でも動じず家族を支えます。声：井上喜久子。
ムーミンパパ: ムーミン一家の父親。冒険好きで、壮大な話を聞かせたり助言をしたりしますが、妄想癖があるユニークな存在。声：松本保典。
スナフキン: 世界を旅する放浪者。ハーモニカを愛し、釣りを趣味としています。「禁止」を好まない自由人。声：高橋一生。
リトルミイ: 小さくておてんばな女の子。ムーミン一家の仲間として暮らしています。口調は辛辣ですが、勇敢で優しい心を持っています。声：大谷育江。
スノークのおじょうさん: ムーミンの大切な友人でありガールフレンド。エネルギッシュで魅力的なヒロインですが、気分が変わりやすいところも。声：津田美波。
スニフ: ムーミンの幼なじみ。宝物やキラキラしたものが大好きで、ムーミンの行動に便乗しがちですが、臆病な面も持ち合わせています。声：落合弘治。
ニンニ: 姿が見えない女の子。意地悪なヘムレンのおばさんと暮らしていましたが、ムーミンのある言葉をきっかけに姿を取り戻します。声：福緒唯。

他にも、じゃこうねずみ、フィリフヨンカ、ヘムレン、ミムラ夫人、ティーティ=ウー、エンマ、ミーサ、おしゃまさん、飛行おに、トフト、トフスラン、ビフスランといった、ムーミン谷を彩る個性的なキャラクターたちが多数登場します。

主なスタッフ

原作: トーベ＆ラルス・ヤンソン
原作監修: ソフィア・ヤンソン
監督: スティーブ・ボックス
脚本: スティーブ・ボックス、マーク・ハッカビー、ニック・オストラー
アニメーション制作: アニマ
制作: ガッツィ・アニメーション
* 共同制作: YLE、SKY

本作は、原作の精神を大切にしつつ、最新の映像技術と才能あふれるスタッフによって、新たな「ムーミン」の世界を描き出し、世界中のファンを魅了し続けています。

もう一度検索