メアリー & マックス

『メアリー & マックス』について

『メアリー & マックス』（原題: Mary and Max）は、2009年にオーストラリアで制作されたクレイアニメ映画です。アダム・エリオットが監督を務め、トニ・コレットやフィリップ・シーモア・ホフマンが声を担当しています。映画は、2009年のサンダンス映画祭でのオープニング作品として初めて上映され、その後、アヌシー国際アニメーション映画祭で最優秀長編作品に選ばれるなど、評価を受けました。

ストーリーの概要

物語の舞台は、オーストラリアのメルボルンです。8歳の少女メアリー・デイジー・ディンクルは、貧しい家庭環境の中で育っています。母親はアルコール依存症で、メアリーは学校でいじめに遭う日々を送っています。ある日、彼女はニューヨークに住む中年の男性マックス・ジェリー・ホロウィッツに手紙を書くことを決意します。マックスはアスペルガー症候群を抱えた孤独な人物であり、2人の文通が始まります。

彼らの関係は数十年にわたって続き、メアリーは成長し結婚します。一方、マックスは宝くじに当選し、少しの間は幸せを味わいます。しかし、メアリーがアスペルガー症候群について著書を出版したことがきっかけで、マックスは怒りをあらわにします。この出来事は、2人にとっての試練となります。

製作の背景

この映画は実際の出来事に基づいており、アダム・エリオットは自らのペンフレンドとの交流からインスピレーションを得ました。彼は2009年4月のインタビューで、そのペンフレンドとの20年以上にわたる文通が作品の核となったことを明かしています。これに先立ってエリオットは、クレイアニメ短編『ハーヴィー・クランペット』を制作し、アカデミー賞を受賞した実績があります。

本作の制作には多くの時間と労力がかかり、撮影には57週間を要しました。133のセット、212体の人形、475のミニチュア模型などを使用し、特にアンダーウッド社製タイプライターの模型は実際に機能するように設計されています。

音楽と公開

映画のオープニングには、ペンギン・カフェ・オーケストラの「パーペチューム・モービル」が使用されており、他にもさまざまなアーティストの楽曲が登場します。オーストラリアでは2009年4月に公開され、最終的には約144万ドルの興行収入を上げました。アメリカでは限られた映画祭での上映の後、ビデオ・オン・デマンドで視聴可能となりました。また、日本では2009年10月に東京国際映画祭で上映された後、2011年に劇場公開されました。

評価と受賞歴

『メアリー & マックス』は極めて高い評価を得ており、Rotten Tomatoesでは多数のレビューが肯定的評価を下し、トマトメーターは94%に達しています。映画祭ではオタワ国際アニメーションフェスティバルにおいて最優秀長編作品賞を受賞し、アヌシー国際アニメーション映画祭でも高い評価を受けました。

また、第82回アカデミー賞の長編アニメーション作品部門ではショートリストに名を連ねましたが、最終ノミネートには至らなかったものの、多くの映画批評家からその作品性を評価されました。オーストラリア映画批評家協会では、2009年に最優秀オーストラリア映画の次点にも選ばれました。

展示と文化における影響

2010年3月にはメルボルンのオーストラリア動画センターでこの映画の展示が行われ、多くの人々に愛される作品としてその後も巡回展示が続いています。『メアリー & マックス』は、アニメーション映画としてだけでなく、人間の絆や孤独、理解を深める物語として、観る者に深い感銘を与えています。

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