メアリー2世 (イングランド女王)

メアリー2世について

メアリー2世（Mary II of England）は、1662年4月30日に生まれ、1694年12月28日に亡くなったイングランド・スコットランド・アイルランドの女王です。彼女の在位期間は1689年2月13日から1694年12月28日までで、名誉革命を経て夫であるウィリアム3世とともに王位を共同で統治しました。ウィリアム3世はオランダの総督で、オラニエ公ウィレム3世としても知られています。メアリーはオランダ語で「マリア」と呼ばれることもありました。

生い立ちとオランダへの移住

メアリーはロンドンで、イングランド王チャールズ2世の弟であるジェームズ（後のジェームズ2世）の長女として誕生しました。彼女は母方の家族と共にプロテスタントとして育てられましたが、家族内での宗教観には対立がありました。1677年にはウィレム3世との政略結婚が行われ、オランダに移り住んだ後、彼女は地元の文化に慣れ始めました。

結婚生活は当初は難しかったものの、次第に夫婦関係は改善されていきました。オランダでの生活を通じて、メアリーはウィレムの留守中に果たすべき役割を認識し、次第に政治的な重要性を持つ女性へと成長していきました。

名誉革命と帰国

1685年にチャールズ2世が亡くなると、父ジェームズが王位を継承しました。しかし、彼のカトリック寄りの政策は議会との対立を引き起こし、国民の間で不安を招く結果となりました。これを受けて、メアリーと夫ウィレムは共にイングランドへ進軍することを決定しました。結果として、1688年に名誉革命が起こり、ジェームズ2世はフランスに逃れ、メアリーはイングランドに戻り、王位に即位しました。

共同統治と政治的手腕

メアリーはウィリアム3世と共同で統治を行い、特に彼が遠征中の際には留守を預かる役割を果たしました。彼女は政治的な手腕を持つ女性として評価され、ウィリアムの不在中には重要な決断を下し、国民の信頼を集めました。ウィリアムとの間に子供は生まれなかったため、後の王位継承に関しては妹のアンとの関係が重要となりましたが、二人の間には緊張が生まれ、対立が生じました。

崩御とその後

1694年、メアリー2世は天然痘により崇高な地位を去りました。彼女の死後、ウィリアム3世は単独で王位を継承し、その後アンが即位する道が開かれました。メアリーの短い人生は、多くの歴史的な出来事と関わりを持ち、その統治は名誉革命を通じてイングランドの歴史に深い影響を与えました。

参考文献

• - 臼田昭『モールバラ公爵のこと チャーチル家の先祖』研究社、1979年。
• - 友清理士『イギリス革命史（上）・（下）』研究社、2004年。
• - 石井美樹子『図説 ヨーロッパ宮廷の愛人たち』河出書房新社、2010年。

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