メイズ・オヴ・オナー・タルト

メイズ・オヴ・オナー・タルト

メイズ・オヴ・オナー・タルト（Maids of Honour tart）は、イングランドに伝わる伝統的な焼き菓子で、その名の通り、甘みを付けたチーズカードをパイ生地で包んだタルトです。その別名として「メイズ・オヴ・オナー・ケーキ（Maids of Honour cake）」も存在します。

製法

このタルトは、基本的に薄いパイ生地にバターシロップを塗り、その上にカッテージチーズまたはクリームチーズを利用したクリームを詰めるという工程で作られます。場合によっては、ジャムやアーモンド、ナツメグなどの風味を加えることもあり、これにより一層豊かな味わいが楽しめます。実際に、ベイクウェルタルトなど、他のイギリスの伝統菓子に似た製法が用いられることが多く、パイ生地やフィリングのバリエーションも様々です。

由来

このタルトの起源は、伝説によればヘンリー8世の時代にさかのぼるとされています。有名な逸話の一つでは、王妃のメイド・オヴ・オナーたちがこのケーキを楽しんでいる姿を見た王が、その味を求め食べたいと希望したと言われています。王はこの菓子の美味しさに感動し、女官たちの名前にちなんで、その名を名付けたとされています。

また、別の伝説では、当時の女官であったアン・ブーリンが、ヘンリー8世のためにこのタルトを作ったとも言われています。しかしながら、これらのエピソードは伝承に過ぎず、信憑性は薄いとされています。メイズ・オヴ・オナーという名称が印刷物に初めて登場したのは1769年頃であり、18世紀末のレシピも残っています。

キューの銘菓

18世紀初頭から、リッチモンドにはメイズ・オヴ・オナーを提供する店舗が存在していたとされています。特にサリー州のキューにある「ニューウェンズティールーム」は、「元祖メイズ・オヴ・オナー（The Original Maids of Honour）」を名乗り、1850年に元のレシピを購入して営業を開始しました。ここではヘンリー8世の物語や、タルトの歴史についても紹介されています。

結論

メイズ・オヴ・オナー・タルトは、甘さとリッチなチーズの風味が絶妙に融合した、イングランドの食文化に根付いた伝統的な焼き菓子です。様々な逸話に彩られながら、歴史を築いてきたこのタルトは、今でも多くの人々に愛され続けています。イギリスの伝統を感じる一品として、多くのティールームで楽しむことができるでしょう。

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