ティールーム

ティールームとは

ティールーム（Tearoom）またはティーショップ（Tea shop）は、主にイギリスの喫茶文化に根ざした、飲み物や軽食を提供する小規模な飲食店です。特に、静かで落ち着いた雰囲気が特徴で、家庭で紅茶を出すための部屋を指すこともあります。

ティールームで提供されるもの

ティールームでは、ジャムとクロテッドクリームを添えたスコーン、いわゆるクリームティー（デヴォンシャーティーとも呼ばれる）が人気です。また、サンドイッチ、スコーン、ケーキなどがセットになったアフタヌーンティーや、夕食として料理が提供されるハイティーも楽しめます。スコットランドでは、紅茶はスコーン、パンケーキ、クランペットなどの様々な焼き菓子と一緒に提供されるのが一般的です。

その他の使われ方

ティールームという言葉は、職場における休憩室や、仕事の合間にリフレッシュするためのスペースを指すこともあります。伝統的に、そのようなティールームで食事や飲み物を出すスタッフは「ティーレディ」と呼ばれていました。

ティールームの歴史

紅茶がイギリスに初めて入ってきたのはオリバー・クロムウェルの護国卿時代であり、その後すぐに国民的な飲み物となりました。18世紀には、紅茶を飲むことはイギリス人の娯楽として定着し、1784年には「イングランド全体で紅茶を飲むことが一般的である」と記録されています。1840年頃には、ベッドフォード公爵夫人アンナ・ラッセルがアフタヌーンティーを始めたとされています。

ロンドンにおけるティールーム

1706年、トマス・トワイニングがロンドンのストランド街に初のティールームをオープンしました。現在も紅茶が販売されており、1787年には、創業以来変わらず使用されている世界最古の広告ロゴを作成しました。

1864年には、エアレイテッド・ブレッド・カンパニーが「A.B.C.ショップ」として知られる最初の店舗を開店しました。この店のコンセプトは、「すべての階級の顧客に無料の紅茶とコーヒーを提供し、店内に宣伝用の公共ティールームを設置する許可を得る」というものでした。ティールームは、ヴィクトリア時代の女性が男性同伴なしでも安心して食事を楽しめる場所として重要な役割を果たしました。1923年にはA.B.C.紅茶ショップは250店舗にまで拡大し、ジェイ・ライアン・アンド・コーに次ぐ規模となりました。

1894年には、ジョン・ライアンズがピカデリーにティールームをオープンさせ、翌年には14店舗のチェーン店に成長しました。

グラスゴーにおけるティールーム

1875年、スコットランドのグラスゴーで茶の小売業者であったスチュアート・クランストンが「クランストンのティールーム」を開店しました。1878年には、妹のキャサリン・クランストンが「ミス・クランストンのティールーム」というチェーン店をオープンしました。キャサリンの店は兄の店よりも人気を集め、特に女性客から支持を得ました。キャサリンはチャールズ・レニー・マッキントッシュの支援者となり、店舗のデザインを依頼し、マッキントッシュは後に非常に有名になるウィロー・ティールームズをデザインしました。

20世紀の展開と現在

ティールームの普及に伴い、ホテル、デパート、劇場などにもティールームが設けられるようになりました。これらのティールームは女性に人気があり、女性経営者による店も多く見られました。また、女性参政権運動家が集まる場所としても利用されていました。

1919年には、ヨークシャーのハロゲイトに「ベティーズ」が開店しました。

エドワード朝時代には、アメリカ合衆国や他のヨーロッパ地域でも英国式のティールームが普及し、アフタヌーンティーダンスを提供する店も現れました。しかし、第二次世界大戦後から1950年代にかけて、ティールームは安価なセルフサービスのコーヒーショップとの競争が激化し、人気が衰退しました。

1970年代には、ナショナル・トラストが歴史的建造物に併設したティールームで紅茶を提供し始めたことで、ティールームの人気は再び高まりを見せています。

ティールームは、単なる飲食店ではなく、文化や歴史を反映した社交の場としての役割も担っています。今日でも多くの人々に愛され、その魅力は失われることなく、受け継がれています。

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