メジャーハボック

『メジャーハボック』は、1983年にアタリがリリースしたアーケードゲームで、その革新的なゲームデザインで注目を集めました。このゲームは、1つのステージを前半と後半の異なるゲームプレイで構成するという、当時としては珍しい試みを行っています。

ゲームの概要

ゲームは、前半が3Dシューティングゲーム、後半がサイドビューのアクションゲームという、2つの異なるジャンルを組み合わせた構成になっています。このユニークな組み合わせが、プレイヤーに新鮮な体験を提供しました。

ベクタースキャンディスプレイを使用しており、その独特なグラフィック表現も特徴的です。この技術は、滑らかな線画による表現を可能にし、ゲームの雰囲気を高めています。

このゲームは、ソフトウェアエンジニア兼デザイナーのオーエン・ルービンにとって、アタリでの最終作となりました。当時17歳だったマーク・サーニーが、ルービンのサポート役として開発に参加したことも、興味深いエピソードです。

ステージ構成

ゲームは、ミッション開始前のブリーフィング画面から始まります。この画面の右下では、ブロック崩しゲームをプレイすることができ、一定時間経過するかミスをすると、次の画面に進みます。このミニゲームは、ゲーム本編への導入として、プレイヤーを楽しませました。

前半は、縦スクロールのシューティングゲームです。プレイヤーは、自機をやや後方から見下ろす視点で操作し、敵を撃破しながら進みます。ステージの最後には着陸地点があり、そこに着陸すると、サイドビューアクションの基地ステージ（後半）に移行します。

後半は、基地に侵入し、酸素を補給しながら爆弾を仕掛けて脱出するというアクションゲームです。自機は、弱重力を感じさせる独特の慣性付き動作を行い、この動きがゲームの特徴的な要素となっています。

筐体について

オリジナル版の筐体は、自機の移動に専用のコントローラを使用しています。このコントローラは、ドラムのような形状をしており、左右に回転させることで自機を動かします。この独特な操作感が、ゲームの魅力を高めていました。

また、別のバージョンとして、Tempestの筐体を利用したコンバージョン版も存在します。このバージョンでは、Tempestのダイアルコントローラをそのまま自機の操作に使用します。ただし、コンバージョン版は、オリジナル版と比較してゲームスピードが明らかに遅くなっています。

後世への影響

『メジャーハボック』は、後のゲーム開発に大きな影響を与えました。以下に挙げるゲームは、開発者自身が『メジャーハボック』から強い影響を受けたと公言しています。

• - 『テセウス』 (1984年、MSX)：本作のサイドビューアクション部分をMSXで表現したいという思いがきっかけで開発されました。
• - 『テグザー』 (1985年、8ビットパソコン)：サイドビューアクション部分に影響を受けています。
• - 『シルフィード』 (1986年、PC-8801mkIISR)：3Dシューティング部分に影響を受けています。
• - 『カイの冒険』 (1988年、ファミリーコンピュータ)：バビロニアン・キャッスル・サーガシリーズの1作。サイドビューアクション部分に影響を受けています。開発コードネームは「Minor Havoc」でした。ゲーム内には、「天井に頭をぶつけるとしゃがむ」というアクションも、オリジナルと同じように存在します。スタッフロールのスペシャルサンクスには「アタリ　メイジャーハボック　かいはつチーム」と明記されています。

『メジャーハボック』は、その革新的なゲームデザインと独特な操作感により、アーケードゲーム史に残る名作として、今もなお多くのファンに愛されています。

もう一度検索