メジロモントレー

メジロモントレー(Mejiro Monterey)は、1986年生まれの日本の競走馬、繁殖牝馬です。その競走馬としてのキャリアは、時として一線級の牡馬をも凌駕する潜在能力を持ちながらも、その能力を発揮するタイミングが読めない、気まぐれな性格で知られていました。しかし、その奔放な走りで数々の重賞競走を制し、競馬史に名を刻む存在となりました。

メジロモントレーの血統背景は、非常に恵まれたものでした。父は、メジロラモーヌなど数々の名馬を輩出したモガミ。母メジロクインシーは競走馬としては活躍しませんでしたが、その祖母メジロボサツは1965年の朝日杯3歳ステークス優勝馬という輝かしい実績を持っていました。さらに、伯父には重賞2勝のメジロゲッコウがおり、優れた血統を受け継いでいたことが分かります。

幼少期は、荒々しい性格の母メジロクインシーから乳を飲む際、蹴られたり噛まれたりするなど、大変な苦労がありました。しかし、メジロ牧場での育成期間を経て、バランスの取れた好馬体へと成長し、大きな病気をすることもなく順調に成長していきました。

1988年8月、函館競馬場での新馬戦でデビュー。初戦は2着でしたが、2戦目で初勝利を飾ります。その後、体調を崩し一時的に牧場へ戻りますが、12月に復帰。しかし、重賞レースでは思うような結果を残せず、勝利からは遠ざかる時期が続きました。

1989年、春シーズンは桜花賞を回避し、オークスへ挑戦。オークストライアルでは4着と、やや期待を下回る結果に終わりますが、夏の函館開催では条件戦を勝利。そして、クイーンステークスでは、カッティングエッジに次ぐ2番人気に支持され、レディゴシップとの接戦を制し、重賞初制覇を達成します。この勝利は、メジロモントレーの気性面での成長を示すものでした。

続くエリザベス女王杯では、シャダイカグラに次ぐ2番人気と期待されましたが、7着に敗れました。しかし、翌年の日刊スポーツ賞金杯では、後方から追い込み、1番人気のバリエンテーを差し切り勝利。この勝利は、メジロモントレーの「気分屋」ぶりを改めて世に知らしめることとなりました。

その後もアルゼンチン共和国杯を制するなど、重賞競走で活躍を続けます。特にアルゼンチン共和国杯での勝利は、調教の動きが悪く9番人気と低評価であったにも関わらず、最後の直線で接戦を演じる先頭集団を大外から差し切ったものでした。その末脚は、当時としては驚異的なものでした。

1991年のアメリカジョッキークラブカップを制した後、競走馬生活から引退。繁殖牝馬としてメジロ牧場で繋養されました。メジロマックイーンとの間に産んだ仔馬メジロアトラスも中央競馬で7勝を挙げ、ダイオライト記念で3着に入るなど活躍しました。

メジロモントレーは2013年2月6日、27歳でその生涯を終えました。競走馬としての成績は決して華々しいものではありませんでしたが、その独特の個性と時折見せる驚異的な末脚、そしてGI競走6勝馬モーリスの祖母という立場から、競馬史に名を残す存在となりました。彼女の気まぐれな走り、そして、その裏に隠された潜在能力は、多くの競馬ファンの記憶に深く刻まれているでしょう。

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