メタルギアソリッド ポータブル・オプス

メタルギアソリッド ポータブル・オプス：伝説の傭兵部隊誕生秘話とPSPの可能性

『メタルギアソリッド ポータブル・オプス』（METAL GEAR SOLID PORTABLE OPS、略称：MPO）は、コナミより発売されたPlayStation Portable（PSP）用ゲームソフトです。小島プロダクション開発のメタルギアシリーズ作品でありながら、小島監督が直接関わっていない作品として知られています。そのため、シリーズ正史との位置付けは長らく曖昧でしたが、近年発売された『METAL GEAR SOLID: MASTER COLLECTION Vol.1』付属のデジタルマスターブックでは「正史につながる出来事を描いたスピンオフ作品」と明記され、シリーズ年表にも登場しています。

時系列と物語：アウターヘブンへの序章

本作の舞台は、シリーズ中『メタルギアソリッド3』とMSX版『メタルギア』の間、それまで描かれることのなかった空白期間です。主人公は『メタルギアソリッド3』でお馴染みのネイキッド・スネーク（後のビッグ・ボス）です。

物語は、コロンビア沖のサンヒエロニモ半島を舞台にした「サンヒエロニモ半島事件」を描いています。この地は、軍事機密ゆえに世界地図上に正確な地形が記されていない「死者の半島」とも呼ばれていました。ソ連の中距離ミサイル基地建設が計画されたものの、東西冷戦の緩和によって放棄され、その後、ソ連兵が駐留していました。

1970年11月2日、スネークイーター作戦から6年後、CIAの特殊部隊FOXが新型兵器を盗み、サンヒエロニモ半島を占拠します。スネークは反乱に巻き込まれ、捕虜となり、そこで若きグリーンベレー隊員ロイ・キャンベルと出会います。

スネークは、自身が反乱の首謀者として、東西両陣営から追われる身となります。自らの潔白を証明するため、そして、かつて所属した特殊部隊FOXを鎮圧するため、スネークは新たな部隊「FOXHOUND」を結成します。本作は、後の伝説的な傭兵部隊FOXHOUND、そして軍事国家アウターヘブンの誕生、ビッグ・ボスの複雑な過去の一端を描いています。物語は『メタルギアソリッドV ファントムペイン』と合わせて、『メタルギアソリッド3』から『メタルギア』までの時系列を繋ぎます。

革新的なゲームシステム：戦略諜報アクションとチーム編成

従来のメタルギアシリーズとは異なるゲームシステムが導入されています。「敵を倒す」だけでなく「敵に見つからない」ことが重要となる戦略諜報アクションが中心です。特に特徴的なのは、敵兵を捕縛して味方にするシステムです。

捕縛した敵兵は、ライフ、スタミナ、敵発見能力（センス）、スキルといったパラメーターを持ち、能力は見た目や所持品から推測できます。最大4名までのチームを編成し、状況に応じてメンバーを入れ替えながら潜入任務を進めます。未操作の隊員は自動的に身を隠すという工夫も凝らされています。

また、諜報、技術、医療といったサポートチームを編成することも可能です。これにより、ミッションの成功率を高められるシミュレーションゲーム的な要素も含まれています。

敵の位置を示すサラウンドインジケーター、無線LANを使ったオンライン対戦や兵士トレードなど、PSPの機能を最大限に活用した革新的な要素が満載です。さらに、コミック形式の演出も特徴的です。

登場人物：個性豊かなキャラクターたち

本作には、多くのシリーズおなじみのキャラクター、そして新規キャラクターが登場します。主人公ネイキッド・スネークを始め、ロイ・キャンベル、ジーン、カニンガムといったFOX隊員、そしてソ連軍関係者など、それぞれに複雑な過去や思惑を持つキャラクターたちが、ドラマを彩ります。

特に、ジーンやカニンガム、パイソン、ヌルといったFOX隊員たちは、それぞれに魅力的な個性と背景を持ち、プレイヤーの心に強烈な印象を残します。彼らは、単なる敵としてだけでなく、複雑な人間模様を描き出し、物語の深みを与えています。

また、ゼロ少佐、パラメディック、シギントといったアメリカ側のキャラクター、そしてソ連軍司令官スコウロンスキー大佐、そしてシリーズを通して重要な役割を担うオセロットやEVAといったキャラクターも登場し、彼らとの関わりも物語を複雑に、そしてより奥深くしています。

まとめ：PSP時代の傑作戦略諜報アクション

『メタルギアソリッド ポータブル・オプス』は、メタルギアシリーズにおける重要な一作です。シリーズの空白を埋める物語、革新的なゲームシステム、そして魅力的なキャラクターたちが織りなす重厚なドラマは、多くのプレイヤーを魅了しました。PSPというプラットフォームの限界を突破した作品としても、高く評価されています。名作『メタルギアソリッド』シリーズの歴史において、重要な位置を占める作品と言えるでしょう。

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