メダカナガカメムシ科

メダカナガカメムシ科

メダカナガカメムシ科（Malcidae）は、カメムシ目に分類される昆虫の小さな群れです。以前は、より広範なナガカメムシ科（Lygaeidae）の一亜科として扱われていましたが、現在では独立した科として認められています。この科に含まれる種は、比較的小ぶりで、ずんぐりとした体つきをしています。

特徴

本稿で扱うメダカナガカメムシ科の昆虫は、一般的に体が小さく、その体長はわずか2.5ミリメートルから6ミリメートル程度です。体の幅に対して厚みがあり、全体としてやや重厚な印象を与えます。体表面には、粗い点々（点刻）が不規則に散りばめられています。

頭部を見ると、複眼がやや外側に突き出ている点が特徴の一つです。触角は4つの節から構成されています。

腹部の形態も独特です。特に後方の節である第5節から第7節にかけての結合板（腹部の節を繋ぐ膜状の部分）が側方に大きく張り出しています。このため、腹部の輪郭が波打ったような形に見えることがあります。また、呼吸のための気門は、腹部の第2節から第6節までの範囲で、体の背中側、より正確には腹部の側面を巻き込んだ背面寄りの位置に開口しています。

この科の幼虫は、多くの場合、体表に目立つ長い棘状の突起を備えています。これは、捕食者から身を守るための防御機構の一つと考えられます。

体色は、生息環境に溶け込むような茶褐色や灰緑色などが一般的です。これらのカメムシは植物上で生活しており、植物の汁を吸って栄養を摂取する、いわゆる植食性の昆虫です。

分類と分布

メダカナガカメムシ科は、全体で3属35種ほどを含む比較的小さなグループです。その多様性の中心は、主に東アジアから東南アジア（東洋区）にかけての温暖な地域にあります。この主要な分布域の他に、アフリカの熱帯地域にも数種が確認されています。

日本国内からは、これまでに2属2種の生息が確認されています。具体的な内訳は以下の通りです。

メダカナガカメムシ亜科（Subfam. Cauliopinae）
メダカナガカメムシ属（Cauliops）
メダカナガカメムシ（Cauliops fallax）
オオメダカナガカメムシ亜科（Subfam. Malcinae）
オオメダカナガカメムシ属（Malcus）
オオメダカナガカメムシ（Malcus japonicus）

これらの種は、それぞれの亜科を代表する存在として日本に分布しています。

利害

メダカナガカメムシ科に属する昆虫の一部は、人間活動との関連において利害が生じることがあります。

特に、日本にも分布するメダカナガカメムシ（Cauliops fallax）は、マメ科植物に対して害虫として知られています。マメ科の作物を栽培する際に、このカメムシが植物の汁を吸汁することで、生育不良や収量減少などの被害をもたらすことがあります。農業分野では、その生態や防除法について研究・対策が行われています。

他の多くの種については、特定の作物に対する重大な被害は知られていませんが、植物食性であることから、特定の植物に影響を与える可能性はあります。

参考文献

本記事の作成にあたっては、以下の文献を参考にしました。

石川忠 他編. (2012). 『日本原色カメムシ図鑑 第3巻』 全国農村教育協会.
安永智秀 他. (2018). 『全農協 観察と発見シリーズ カメムシ博士入門』 全国農村教育協会.

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