メチルエチルケトン

メチルエチルケトン（MEK）の性質と用途

メチルエチルケトン（MEK）は、ケトン類に属する有機溶媒です。IUPAC命名法では2-ブタノンと呼ばれ、消防法では危険物第四類に分類されています。引火点が低く（-9℃）、可燃性が高いことに注意が必要です。沸点は79.5℃、発火点は404℃です。

常温では無色の液体で、特有の臭気を持ちます。水への溶解度は低いですが、完全に混和するわけではありません。塗料やコーティング剤、接着剤などの溶剤として、また、合成樹脂の製造原料としても広く利用されています。その高い溶解力と揮発性から、様々な工業プロセスで重要な役割を果たしています。

しかし、MEKは毒物及び劇物取締法で劇物に指定されているため、取り扱いには細心の注意が必要です。人体への影響も大きく、吸入や皮膚への接触によって健康被害が生じる可能性があります。そのため、作業時には適切な保護具を着用し、換気を十分に行うことが不可欠です。

MEKの製造方法

MEKの主な製造方法は、ブテンに水を付加して得られる2-ブタノールを原料とし、銅亜鉛触媒を用いた脱水素反応です。この反応によって、2-ブタノールから水素が除去され、MEKが生成されます。2016年度の日本国内生産量は235,436トンと報告されています。これは、MEKが工業的に非常に重要な物質であることを示しています。

MEKの取り扱いと事故対応

MEKを取り扱う際には、その危険性を十分に理解し、適切な安全対策を講じる必要があります。特に、引火性が高いことから、火気厳禁の環境を維持し、静電気の発生にも注意する必要があります。また、人体への影響も考慮し、作業時には保護手袋、保護眼鏡、保護マスクなどを着用することが重要です。

万一、輸送事故などが発生した場合には、厚生労働省の通知「毒物および劇物の事故時における応急措置に関する基準」に従って対応する必要があります。漏洩したMEKの量は、処理方法に影響を与えます。少量であれば、土砂などで吸収させ、空容器に回収します。しかし、大量に漏洩した場合は、土砂などで流れをせき止め、泡で表面を覆ってから回収する必要があります。迅速かつ適切な対応が、被害拡大を防ぐために不可欠です。

まとめ

MEKは、工業的に重要な有機溶媒ですが、同時に高い危険性を有する物質です。その性質、用途、製造方法、そして安全な取り扱い方、事故発生時の対応を理解することは、作業者の安全確保、そして環境保全のためにも非常に重要です。常に最新の安全情報を確認し、適切な手順に従って取り扱うようにしましょう。 適切な知識と注意深い作業によって、MEKの利便性を最大限に活かしつつ、リスクを最小限に抑えることが可能です。

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