メッサーシュミット P.1101

メッサーシュミット P.1101

メッサーシュミット P.1101は、第二次世界大戦中にドイツのメッサーシュミット社が開発に携わっていた戦闘機で、1944年7月に始まった緊急戦闘機計画から生まれました。この戦闘機は、単座式のジェットエンジンを搭載した単発機であり、当時の戦争におけるドイツの防衛戦略の一環として設計されました。

設計と特徴

P.1101は、大戦の終息に近づく中、連合軍からの空爆の脅威に対抗するために策定されたもので、同時期に開発されていたTa 183などと比較されます。この機体の大きな特徴は、可変後退翼を狙ったデザインであり、主翼の後退角を事前に調整できるシステムを搭載する試みがなされています。試作機の完成時、後退角は37度と50度の2段階での調整が可能でしたが、空中での変更機能は持たず、地上での設定のみが可能だったのです。

設計の発展

1944年7月15日、緊急戦闘機計画の仕様が提示され、メッサーシュミット社のW.フォークトが率いる設計チームは、わずか9日間で基本的なペーパープランを作成しました。この設計では、広い胴体、三輪式の降着装置、特に機首部分のエアインテークに特徴が見られます。また、V字形の尾翼が設計され、胴体内部にハインケル社製のHeS 011ジェットエンジンが搭載されることになっていました。

設計は進展し、複数の主翼や胴体形状が風洞実験にかけられ、その性能が評価されます。1944年10月には最終設計案が製造局に提出され、12月には製造資材の選定が開始されました。しかし、1945年2月28日、ドイツ航空省はフォッケウルフのTa 183を選定し、P.1101は次順位となります。これは、設計チームが抱えた多くの技術的課題が影響していました。

試作機の製造プロセス

ドイツ航空省が資金援助を減らす中、メッサーシュミット社は実物大の試作機の製作を進めていました。V1試作機はオーバーアマガウの工場で製造され、1945年6月には初飛行が行われる予定でした。P.1101は初期の外翼にMe262の部品を使い、胴体部分はジュラルミンで製造されています。

1945年4月29日、アメリカ軍が「オーバーアマーガウ」の施設を発見した際、試作第1号機は約80%の完成度を持っていましたが、主翼は未取り付けの状態でした。試作機とともに、設計関連の資料も接収され、後にアメリカ合衆国へと運ばれ、ベルX-5の基礎とされました。

派生型の多様性

P.1101は、その設計過程でいくつかのバージョンが考案されました。

• - 第一次設計：1944年に設計された短い機体。物理的な形状に特徴があり、複雑さが除かれました。
• - 第二次設計：より滑らかな外形を持つ設計で、主翼後退角は40度。全長と全幅が拡大されています。
• - 第三次設計：実物大試作機として定義され、実際に飛行への道が開かれました。
• - 第四次設計：最終的な設計で、量産の準備が進められていました。
• - 派生型：ラムジェットエンジンを搭載したP.1101 Lや、様々な武装や構成を持つ機体が考案され、異なる用途に対応していました。

諸元

最終設計の主要な諸元は次の通りです。乗員は1名、全長は9.1メートル、翼幅は8.2メートルで、最高速度は985km/hに達することができました。多彩な武器搭載能力が計画されましたが、試作機には兵装は搭載されませんでした。

メッサーシュミット P.1101は、その革新的な設計と開発過程の中で、航空機技術における重要なステップとなりました。

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