メッセージング

メッセージングとは

メッセージングとは、広義にはデータや情報の交換を指す言葉ですが、コンピュータシステムにおいては、その形態によっていくつかの種類に分類されます。大きく分けて以下の3つが挙げられます。

1. コンピュータソフトウェアと人との間の通信: これは、私たちにとって最も身近なメッセージングの形態です。電子メール、インスタントメッセージ、ショートメッセージなどがこれにあたります。

2. コンピュータソフトウェア同士の通信: ソフトウェアが相互に情報を交換する際に利用されます。並列処理、オブジェクト指向プログラミング、プロセス間通信などが具体的な例です。

3. コンピュータソフトウェアとネットワークノード間の通信: この形態は、ソフトウェア同士の通信をネットワークを介して行う場合や、ネットワークノード同士で通信を行う場合を含みます。例えば、WebブラウザとWebサーバの間の通信がこれに該当します。最近では、端末がネットワークに対してサービスを要求し、ネットワークが端末の要求に応じた形でサービスを提供するような、より複雑な形態も登場しています。


本稿では、特に3番目の「コンピュータソフトウェアとネットワークノード間の通信」に着目し、サービス指向アーキテクチャ（SOA）におけるメッセージングの役割について詳しく解説します。

メッセージングネットワークの定義

メッセージングにおいて重要な概念は、「メッセージ」です。メッセージとは、ネットワーク上を流れるコンテンツの最小単位であり、このメッセージを特定のノード間でやり取りする行為がメッセージングと呼ばれます。このメッセージのやり取りが行われるネットワークをメッセージングネットワークと定義します。メッセージングネットワークは、IPネットワークの上に構築された仮想ネットワークであり、OSI参照モデルにおけるアプリケーション層（レイヤ7）に位置します。

通信プロトコルとアプライアンス

SOAアプリケーションは、多種多様なデータ交換を必要とします。このデータ交換を円滑に行うためには、一定のルール、つまり通信プロトコルが必要です。メッセージングネットワークは、これらのデータ交換を支える基盤となる役割を担います。

メッセージングネットワークで主に利用されるプロトコルの一つにSOAP（Simple Object Access Protocol）があります。SOAPは、XMLベースのプロトコルであり、異なるシステム間で構造化された情報を交換するための標準的な方法を提供します。

また、メッセージを中継する役割を担う機器として、メッセージ・ルータと呼ばれる専用のアプライアンスが存在します。メッセージ・ルータは、ネットワーク上のトラフィックを効率的に管理し、メッセージを適切な宛先に配送する機能を備えています。

メッセージングの関連技術と活用事例

メッセージングは、クラウドコンピューティングやSoftware as a Service（SaaS）、Platform as a Service（PaaS）といった技術と密接に関連しています。これらの技術は、メッセージングを利用することで、より柔軟で効率的なサービスを提供することができます。

活用事例

気象センサーデータの地域連携: メッセージングネットワークを用いて、複数の気象センサーから収集したデータを集約し、地域連携に役立てる。
配送サービス: メッセージングネットワークを活用して、リアルタイムでの配送状況を把握し、効率的な配送ルートを計画する。

メッセージングの今後

メッセージング技術は、今後ますます高度化し、様々な分野で活用されると予想されます。特に、IoT（Internet of Things）デバイスの普及に伴い、メッセージングは、大量のデータを効率的にやり取りするための重要な基盤となるでしょう。

参考文献

* G. Hohpe, B. Woolf著「Enterprise Integration Patterns」 (ISBN 978-0-321-20068-6)


この書籍は、メッセージングに関する包括的な知識を提供し、エンタープライズシステムの統合パターンを理解するための重要な資料となります。

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