メディア教育開発センター

独立行政法人メディア教育開発センター（NIME）の軌跡：高等教育におけるメディア活用教育の推進と発展

独立行政法人メディア教育開発センター（NIME）は、高等教育機関におけるメディア活用教育の研究開発と普及を目的として、2004年4月1日に設立されました。文部科学省所管の独立行政法人として、大学や高等専門学校における教育の質向上に貢献することを使命としていました。しかし、2009年3月31日をもって廃止され、その業務は放送大学学園へと承継されました。本稿では、NIMEの設立から廃止までの歴史、その事業内容、そして整理合理化に至った背景について詳細に解説します。

NIMEの設立と目的

NIMEは、大学共同利用機関メディア教育開発センターの法人化に伴い設立されました。その目的は、大学及び高等専門学校における多様なメディアを高度に活用した教育の研究開発、およびその成果普及を通じた教育発展への貢献でした。具体的には、eラーニング支援、教育用ツールの開発・普及、教育コンテンツの開発・普及、教育通信ネットワークの運用、セミナーやフォーラムの開催など、多岐にわたる事業を展開していました。

幅広い事業内容：研究開発から国際連携まで

NIMEの事業内容は大きく分けて、研究開発、普及促進、大学院教育、その他業務の4つに分類されます。研究開発においては、eラーニングに関する研究や、多様なメディアを活用した教育方法に関する研究開発などが行われました。普及促進では、教育情報ポータルの運用、教育用ツールの開発・普及、教育コンテンツの開発・普及、衛星通信ネットワークの運用などを担っていました。

さらに、国際シンポジウムなどの開催や、学術研究誌「メディア教育研究」の発行、研究成果報告書やニューズレターの刊行なども行っていました。大学院教育においては、総合研究大学院大学の基盤機関として、同大学院文化科学研究科メディア社会文化専攻をセンター内に設置し、大学院生の指導にも携わっていました。また、NIMEは「IT教育支援協議会」や「教育に関する著作権協議会」といったコンソーシアムの事務局も担い、政策提言などにも積極的に取り組んでいました。

具体的な事業としては、NIME-glad（能力開発学習ゲートウェイ）の開設や、GLOBE（Global Learning and Observation to Benefit the Environment）プロジェクトへの参加などが挙げられます。これらの事業を通じて、NIMEは高等教育におけるICT活用の推進に大きく貢献しました。

整理合理化と業務の承継

2009年の廃止は、政府の独立行政法人整理合理化計画に基づくものでした。教育関連コンテンツの制作においては、トップダウン型のアプローチが必ずしも有効ではないという認識が背景にありました。現場教育の工夫による改善の可能性が期待されたため、整理・合理化の対象となりました。また、教育用コンテンツへのセマンティックタグや検索用データの付与には巨額の費用が必要となるなど、標準化に向けた課題も存在しました。

NIMEの廃止後、その業務は放送大学学園に承継されました。特に、総合研究大学院大学におけるメディア専攻の研究教育は継続されましたが、それ以外の業務、コンソーシアム、ICT教育用ツールの開発・コンテンツ制作、ICT教育の基礎研究などは放送大学学園のICT活用・遠隔教育センター（後に教育支援センター、オンライン教育センターと改組）に引き継がれました。

NIMEの設立から廃止までの歴史

NIMEの歴史を振り返ると、その前身は1978年に設置された国立大学共同利用機関放送教育開発センターです。その後、1989年に大学共同利用機関放送教育開発センター、1997年に大学共同利用機関メディア教育開発センターと改称され、2001年には総合研究大学院大学大学院文化科学研究科にメディア社会文化専攻を設置しました。そして2004年に独立行政法人メディア教育開発センターとして発足し、2005年にはNIME-gladを開設するなど活発に活動していましたが、2009年にその歴史に幕を閉じました。

まとめ

NIMEは、高等教育におけるメディア活用教育の推進に大きく貢献した機関でした。その功績は、現在でも放送大学などの活動に引き継がれています。NIMEの歴史と事業内容は、今後の高等教育におけるICT活用の方向性を考える上で貴重な知見となるでしょう。

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