メトロ・ピクチャーズ

メトロ・ピクチャーズ・コーポレーションの歴史

メトロ・ピクチャーズ・コーポレーション（Metro Pictures Corporation）は、1915年2月にフロリダ州ジャクソンビルで設立され、後にメトロ・ゴールドウィン・メイヤー（MGM）の基盤となった映画製作会社です。この会社は、映画配給業者である「エクスチェンジ・マン」によって立ち上げられました。設立当初、リチャード・A・ローランドは社長を務め、ジョージ・グロンバッハーが副社長、ルイス・B・メイヤーは秘書という役職を担いました。会社の目的は、映画制作を配給業者のコントロール下に置くことでした。

メトロは、設立時に30万ドルの資本金を持ち、業界内の競合に対抗するために誕生しました。特に、当時の圧倒的なシェアを持つパラマウントやユニバーサルに吸収されることを回避するため、メトロは独自の路線を追求しました。メトロには、他の映画会社からの移籍者が多く集まりました。特にアルコ・フィルムズからはロルフ・フォトプレイズなどが参加しました。

1920年頃、会社はハリウッドにスタジオを設立し、広大な映画製作施設を構築しました。初めての上映作品『Satan Sanderson』は1915年3月29日に公開され、メトロ自身の製作作品『Sealed Valley』は同年8月にリリースされました。その後、メトロは制作活動を本格化させ、多くの映画を手がけるようになりました。

メトロ・ピクチャーズの成長とMGM設立

1920年には、マーカス・ロウにより買収され、その劇場チェーンへの映画配給源としての役割を果たしました。しかし、ロウはメトロが製作する映画の数や質に満足せず、1924年には会社をゴールドウィン・ピクチャーズおよびルイス・B・メイヤー・プロダクションズと統合し、新たにメトロ・ゴールドウィン・メイヤー（MGM）が誕生しました。この新しい会社は、映画業界に多大な影響を及ぼす存在となります。

スターたちとその影響

メトロ・ピクチャーズは、第一次世界大戦期に多くの映画スターを輩出しました。フランシス・X・ブッシュマン、ビバリー・ベイン、ハロルド・ロックウッド、メイ・アリソンなど、当時の人気俳優たちが活躍しました。また、リリアン・ギッシュやバスター・キートンといった名優たちも同社でコンスタントに作品に出演しました。これらのスターは、メトロが映画界に与えた影響を象徴する存在として、映画史に名を刻みました。

映画スタジオとその存続

メトロの映画ライブラリーは1924年にMGMに受け継がれましたが、会社の一部のスタジオは独立して存続しました。モーション・ピクチャー・スタジオとして知られるこれらの施設は、長年にわり様々な映画やテレビシリーズに利用されました。特に、デビッド・E・ケリーが製作した『ピケット・フェンス』や『アリー my Love』などのテレビシリーズがこのスタジオで撮影され、今でも多くのファンに親しまれています。

残されたフィルモグラフィー

残念ながら、1965年に発生した火災によって、1924年以前のメトロ・ピクチャーズのオリジナルネガやプリントがすべて焼失してしまいました。このため、メトロの初期作品の多くは失われてしまったものの、MGMはその後も様々な作品を製作し続け、映画業界において重要な役割を果たしました。1986年、テッド・ターナーがMGMを買収し、その際にメトロに関する貴重な資料を手にしました。

メトロ・ピクチャーズ・コーポレーションの歴史は、アメリカの映画産業の発展を象徴するものであり、その影響は現在も続いています。

もう一度検索