メドハギ

メドハギ

メドハギ（Lespedeza juncea var. subsessilis）は、道端でよく見かけるマメ科ハギ属の多年草です。一般的に知られる萩とは異なり、細い葉が密生し、独特な外観をしています。まっすぐに伸びた茎から多数の枝が上向きに生え、まるで竹箒を逆さにしたような姿が特徴的です。

特徴

形態: 草丈は1mほどで、茎は硬く木質化します。秋になると頭でっかちになり、うなだれるように傾くことがあります。
葉: 三出複葉で、小葉は線形または狭倒卵形で、先端が丸みを帯びています。茎に寄り添うように上向きに生えます。
花: 8月から10月にかけて、淡い黄色の花を葉腋に数個ずつ咲かせます。旗弁の基部には紫色の斑点があります。
果実: 種子を1つ含む卵形の節果で、表面には伏した毛がまばらに生えています。閉鎖花も形成され、ほぼ円形の果実をつけます。

生育環境と分布

日当たりの良い草地や道端、堤防、川原などに自生します。北海道から琉球列島まで広く分布し、国外では朝鮮半島、中国、ヒマラヤ、アフガニスタン、マレーシア、オーストラリアにも分布しています。

変異

メドハギには多くの変異があり、いくつかの亜種や変種が知られています。

シベリアメドハギ: 閉鎖花の萼片に3本の脈があるのが特徴です。本州北部にまれに見られ、国外ではアフガニスタンからシベリア東部にかけて分布します。
ハイメドハギ: 茎が立ち上がらず、地表を這うように伸びます。葉もやや幅広く柔らかいです。本州以南に分布し、中国にも見られます。
ツルメドハギ: 長く這う茎に開出した毛があります。ネコハギとの雑種であると考えられています。

利用

メドハギは、かつて占いに用いる筮竹の代わりに使用されたことから、「目処」という言葉の語源になったという説があります。

一部地域では薬草として利用されてきましたが、一般的な薬効は確立されていません。沖縄本島地方では、お盆の際にメドハギの茎で作った箸（ソーローバシ、ソーローメーシ）を供えたり、メドハギの枝先を束ねた箒を祖先の霊が足を洗うために供えたりする風習があります。奄美地方や対馬でも同様にお盆の箸として用いられます。メドハギの茎は断面が円に近く、真っすぐに伸びるため、箸として使いやすいです。

参考文献

佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他『日本の野生植物　草本II 離弁花類』,(1982),平凡社
北村四郎・村田源,『原色日本植物図鑑・草本編II』,(1961),保育社
長塩容伸・山田光胤,『薬草小事典』,(1968),池田書店
牧野富太郎『牧野　新日本植物図鑑』,(1961),図鑑の北隆館
那覇出版社編集部編,『沖縄・冠婚葬祭の手引き』,(1982),那覇出版社

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