メヌエット (瀧廉太郎)

『メヌエット ロ短調』は、日本の作曲家、瀧廉太郎が1900年10月1日に作曲したピアノ曲です。この作品は、近代日本において作曲された初期のピアノ曲の一つとして、その歴史的な意義が注目されています。瀧廉太郎自身にとっても、この『メヌエット ロ短調』は、3年後に作曲された『憾』と並び、数少ない器楽曲の一つとして貴重な存在です。

現在、『メヌエット ロ短調』は全音楽譜出版社の『全音ピアノピース』シリーズから楽譜が販売されています。しかし、出版されている楽譜と瀧廉太郎の自筆譜の間にはいくつかの差異が指摘されています。このため、ミューズテック音楽出版からは、より原曲に忠実な校訂版が、『憾』と共に刊行されています。この校訂版は、研究者や演奏者にとって、瀧廉太郎の意図をより深く理解するための重要な資料となっています。

楽曲の構成は、速度指定がなく、4分の3拍子、ロ短調で、複合三部形式となっています。主部はワルツのようなホモフォニックな書法が中心で、親しみやすい旋律が特徴です。一方、トリオはロ長調に転じ、主部とは対照的にポリフォニックな書法が用いられています。中間部では再びロ短調に戻り、クライマックスへと向かいます。この部分の右手の和音と左手の旋律の絡み合いは、ショパンのワルツ第14番のトリオ中間部を彷彿とさせると評されることもあります。演奏時間は約2分と比較的短いながらも、瀧廉太郎の作曲技法が凝縮された作品と言えるでしょう。

『メヌエット ロ短調』は、全体として、まだ生硬な部分も見られるものの、瀧廉太郎が西洋音楽の書法をしっかりと学び、自身の音楽に取り入れようとしていたことを示す良作です。当時の日本の音楽界において、西洋音楽の導入期における重要な足跡として、その価値は非常に高いと言えるでしょう。

出典

外部リンク
メヌエット ロ短調の楽譜 - 国際楽譜ライブラリープロジェクト)
瀧廉太郎－2つのピアノ小品集:「メヌエット」「憾（うらみ）」 - ミューズテック音楽出版
演奏 - YouTube

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