メノルカ島の占領

メノルカ島占領：スペイン継承戦争におけるイギリスの戦略的勝利

1708年9月、スペイン継承戦争における重要な局面として、イギリス軍はスペイン領メノルカ島の占領作戦を実行しました。この作戦は、地中海におけるイギリスのプレゼンスを確立し、フランス・スペイン連合軍を封じ込めるという戦略的な目的を持っていました。

背景：地中海におけるイギリスの戦略的目標

イギリスは、フランスとスペインの影響力を地中海から排除するため、海外領土の獲得を目指していました。1704年にはジブラルタルを占領し、大西洋と地中海を結ぶジブラルタル海峡の監視拠点を確保しました。しかし、より確実な封鎖体制を構築するため、ジブラルタルよりも東に位置するメノルカ島の占領が不可欠と判断されました。

メノルカ島遠征の計画と実行

スペイン駐屯イギリス軍司令官ジェームズ・スタンホープは、スペイン王位 претендентカール大公とスペイン方面司令官グイード・フォン・シュターレンベルクと協議し、メノルカ島遠征を計画しました。地中海艦隊司令官ジョン・リークの協力のもと、スタンホープ率いるイギリス軍は、1708年8月末にメノルカ島に向けて出航しました。

メノルカ島の要塞とイギリス軍の進攻

メノルカ島には、シウタデリャ・デ・メノルカ（西）、フォルネルス（北）、マオー（東）という3つの主要な港が存在しました。特に、マオーの入り口に位置するセントフィリップ砦は、スペイン軍の強固な防衛拠点となっていました。9月14日に上陸したイギリス軍は、まずフォルネルスを攻略（9月20日）。続いてシウタデリャを降伏させ（9月22日）、最後に残ったマオーを艦隊砲撃と陸軍の突入によって制圧し、9月30日にメノルカ島全島を占領しました。

戦後：イギリス領としてのメノルカ島

戦後、メノルカ島はスタンホープとカール大公の交渉の結果、イギリス領となりました。これにより、イギリス軍はフランスの主要港湾都市トゥーロンを監視することが可能となり、地中海におけるフランスの活動を抑制することに成功しました。また、フランスを支持していたイタリアの教皇領にも圧力をかけ、ローマ教皇クレメンス11世はカール大公をスペイン王として承認せざるを得なくなりました（1709年）。

1713年のユトレヒト条約において、メノルカ島とジブラルタルは正式にイギリス領として認められました。これにより、イギリスは地中海の制海権を掌握するための重要な拠点を確保し、地中海における影響力を確立しました。

結論

メノルカ島の占領は、スペイン継承戦争におけるイギリスの戦略的勝利であり、地中海における勢力均衡に大きな影響を与えました。この勝利を通じて、イギリスは地中海の制海権を確立し、ヨーロッパの政治情勢における影響力を高めることに成功しました。

参考文献
小林幸雄『図説イングランド海軍の歴史』原書房、2007年。
友清理士『スペイン継承戦争 マールバラ公戦記とイギリス・ハノーヴァー朝誕生史』彩流社、2007年。

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