メバル

メバル（鮴、目張、眼張、眼張魚）

メバルとは、メバル属に属する魚のうち、日本で古くから「メバル」と呼ばれてきた3種（アカメバル、シロメバル、クロメバル）の総称です。以前は1種とされていましたが、2008年の研究で3種に分類されることが明らかになりました。北海道から九州にかけての沿岸の岩礁域に多く生息しています。

地域によって様々な方言名があり、アオテンジョウ、ウキソメバル、ガブ、スケ、ソイ、テンコ、ハチメ、ハツメ、ヒタケ、ホゴ、メバチ、メバリ、メマル、モバチメなどと呼ばれています。また、春の訪れを告げる魚として「春告げ魚（はるつげうお）」という美しい別名も持っています。（元々はニシンを指す言葉でした。）

生物学的特徴

分類

かつては、ヨーロッパの個体に基づいたアカメバルと、日本の個体に基づいたクロメバルがそれぞれ別種として認識されていました。しかし、1935年に松原喜代松がメバルは1種であると主張し、アカメバルの学名 Sebastes inermis がメバルの学名となりました。

その後、1985年に陳楽才（チェン）がメバルの複数種説を提唱し、1988年にバルスコフと陳が第3の種であるシロメバルを記載しました。そして2008年、DNA解析の結果、メバルは3種に分類できることが発表され、現在に至ります。

• - シロメバル（白眼張・白鮴） Sebastes cheni Barsukov, 1988

- 釣りの世界での俗称：「黒（くろ）」

• - アカメバル（赤眼張・赤鮴） Sebastes inermis Cuvier et Valenciennes, 1829

- 釣りの世界での俗称：「赤（あか）」「金（きん）」

• - クロメバル（黒眼張・黒鮴） Sebastes ventricosus Temminck et Schlegel, 1843

- 釣りの世界での俗称：「青（あお）」、「青地（あおじ）」、「ブルーバック」

形態・生態

全長は20cmから30cm程度で、カサゴに比べて体幅が薄く、体高が高いのが特徴です。体色は黒褐色で、不明瞭な黒い横縞が数本入ります。名前の由来ともなった大きく張り出した目が特徴的です。

北海道南部から九州、朝鮮半島南部に分布し、沿岸の海藻が多い岩礁域に群れで生息します。カサゴのように海底にじっとしているだけでなく、岩礁付近を活発に泳ぎ回ったり、垂直な岩場でホバリングするように立ち泳ぎしたりします。温泉が湧き出る海域では、温泉の上に集まって立ち泳ぎする姿も見られます。

肉食性で、貝類、多毛類、小型甲殻類、小魚などを捕食します。夜行性です。

カサゴと同様に卵胎生で、冬に交尾したメスは体内で卵を受精・発生させ、約1ヶ月後に数千匹の稚魚を産みます。稚魚は成長するまで海藻の間などに群れて生活します。

人間との関わり

捕獲方法

旬は冬から春で、釣りや籠漁などで漁獲されます。釣りでは、船釣り、磯釣り、防波堤釣りなど様々な方法があります。磯や防波堤で釣れるのはクロメバル、沿岸部の岩礁帯や藻場で釣れるのはアカメバルが多いとされます。これは保護色の違いと考えられていましたが、前述の通り、それぞれ別種です。

動くものに食いつく習性があるため、釣り餌には生きたスジエビなどがよく使われます。ルアーや擬似餌を使ったメバリングも人気です。その他、イワシ、カタクチイワシ、サッパ、イカナゴ、ドジョウ、マハゼなどの小魚や、ゴカイ、エビなどを餌にしたウキ釣りも一般的です。群れで行動するため、一度釣れ始めると同じ場所で続けて釣れることが多いです。

メバルは視力が良いため、細いハリスが用いられます。また、オニオコゼのような強い毒はありませんが、東北地方では毒魚として知られており、不用意に触ると棘で刺されることがあります。鰓蓋や背鰭の棘が鋭いため、扱う際には手袋やタオルなどを使用することをおすすめします。

食用

脂肪が少なく、淡白な白身魚です。内臓を取り除いたものを味噌汁や煮付けにして熱いうちに食べると美味です。その他、塩焼き、唐揚げ、刺身など様々な料理で楽しめます。アクアパッツアなどの洋食にもよく合います。

台湾では、「平鮋」と称して蒸し魚などにされます。

近縁種

• - タケノコメバル Sebastes oblongus Günther, 1877
• - ウスメバル Sebastes thompsoni Jordan and Hubbs, 1925
• - トゴットメバル Sebastes joyneri Günther, 1878
• - キツネメバル Sebastes vulpes Doderlein, 1884

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