メヒコ (レストラン)

メヒコは、海産物を用いた料理を専門とするレストランチェーンである。特に、個性的な店舗空間と看板メニューのカニピラフで知られている。

その歴史は1970年に始まる。創業地は福島県いわき市で、当初はカニピラフを主軸とした「メヒコ　フラミンゴ館」として開店した。これを皮切りに、同店は福島県および茨城県を中心に店舗網を拡大。やがて東北・関東一円に進出し、一時は東京都、沖縄県、さらには海外の台湾にも出店するなど、広範な地域で事業を展開した時期がある。また、レストラン経営のみならず、ラン栽培事業にも進出するなど、多角的な事業展開も試みられていた。

しかし、事業環境の変化などから経営状況が悪化し、2005年9月30日には東京地方裁判所へ民事再生手続き開始の申し立てを行うに至る。その後の再生過程を経て、2006年には株式会社イーケーシーの完全子会社となり、本社機能も創業地から東京都台東区へ移転。新たな体制の下でレストラン事業は継続されることとなった。現在は事業再編を経て、福島県、茨城県、東京都の3都県に店舗網を集中させ、営業を続けている。

メヒコの大きな特徴は、高品質なシーフード料理にある。中でも創業以来、多くの顧客を惹きつけてやまない看板メニューがカニピラフである。このカニピラフは、単なる海鮮ピラフに留まらず、茹でた殻付きの蟹が豪快にそのままピラフの上に盛り付けられる独特のスタイルで提供される。食事をする客は、自分で蟹の殻から身を丁寧にほぐしながら味わうという、手間暇をかけることで一層美味しく感じられる仕掛けとなっている。カニピラフはテイクアウトも可能だ。かつてはインターネット通販や一部スーパーマーケットでも冷凍品が販売されていたが、現在は店舗で作られたばかりのものを折り詰めで持ち帰る形式のみとなっている。

店舗の個性もメヒコの大きな魅力の一つである。特に有名なのが、南国のリゾートのような雰囲気を演出し、実際に店内でフラミンゴが飼育されている「フラミンゴ館」と呼ばれる店舗である。これらの店舗では、鮮やかなピンク色のフラミンゴたちが優雅に水辺を歩く姿や、餌を啄む様子などを眺めながら食事を楽しむことができる。テーブルにはフラミンゴに関する豆知識や情報を集めた『フラミンゴQ&A』が置かれており、彼らの生態について学ぶこともできる。店内にフラミンゴを飼育するユニークな発想は、創業者がメキシコを訪れた際に目にしたフラミンゴの大群に感銘を受けた経験から生まれたという。ちなみに、フラミンゴの寿命は比較的長く、50年から60年ほどとされている。

過去には、フラミンゴ館のように動物をテーマにした店舗として、サルを眺めながら食事ができた「モンキー館」も存在した。

動物だけでなく、水生生物をテーマにした店舗もある。かつて、熱帯魚を鑑賞できる「いわき水族館」店が存在したが、東日本大震災による休業期間を経て、2020年12月18日にサメなどが泳ぐ大型水槽を設置した「メヒコ シャークワールド」としてリニューアルオープンした。また、他の店舗でも大規模な水槽を設置しているところがあり、例えば「東京ベイ有明館」店（現在は閉店）には約8メートルに及ぶ水槽が設置されていた。過去に存在した「足立区役所店」の入り口にも、幅3メートルを超える大型の熱帯魚水槽が設けられていた。

メヒコでは、カニピラフ以外にも様々なシーフード料理やピラフを提供している。代表的なメニューの一部を以下に挙げる。

カニピラフ（殻付き / むき身）
メヒコピラフ
ウニピラフ
ビーフピラフ
メヒコ風パエリア
タラバガニのお刺身
かに味噌焼き
ソフトシェルクラブ
ズワイガニ料理
タラバガニ料理

現在、メヒコはレストラン事業として15店舗を展開している。店舗の形態は、前述のフラミンゴ館、水族館（シャークワールド、アクアワールド）、オーシャンビュー（海沿いの店舗）、そしてその他の店舗に分類される。福島県、茨城県、東京都を中心に、各地域で特徴的な店舗を展開している。

関連するものとして、かつてメヒコと共同で商品開発を行っていたコンビニエンスストア「モンペリ」が存在した。また、現在の運営会社は株式会社イーケーシーである。

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