メボソムシクイ

メボソムシクイ (Phylloscopus xanthodryas)

メボソムシクイは、鳥綱スズメ目のムシクイ科に属する特徴的な小鳥です。日本の本州、四国、九州を中心に繁殖し、冬には中華人民共和国、台湾、フィリピン、さらにはインドネシアで越冬します。この種の模式標本が採取されたのは、福建省の廈門です。

形態

メボソムシクイの身体的特徴は興味深いものがあります。最長初列雨覆よりも第10初列風切が長くなっており、第10初列風切は丸い先端を持つことが多いです。また、コムシクイやオオムシクイと比べて、尾羽や翼が長く、全体的に黄色味が強いのが特徴です。

分類

この種は以前、P. borealisおよびその亜種P. b. xanthodryasとして知られていました。しかし、2011年の研究により、P. borealisはこのメボソムシクイを含む3つの異なる種に分けられることが提案されました。この変更により、2012年にはコムシクイやオオムシクイの新しい和名が提唱され、メボソムシクイはこれらの系統から分岐したのが約250万年前と考えられています。

生態

メボソムシクイは昆虫食性で、甲虫目や双翅目、半翅目、鱗翅目の昆虫及びその幼虫、さらにはクモを主な食料としています。秋になると果物も摂取します。繁殖形態は卵生で、一夫一妻制とも言われていますが、一夫多妻の可能性も指摘されています。日本では、標高1,500メートルから2,500メートルの亜高山針葉樹林や高山帯において繁殖を行います。

繁殖期にはオスが縄張りを形成し、囀りによってその範囲を示します。囀りは4音節で表現され、通常、5月下旬から10月上旬にわたって活発に行われます。また、オスは翼や尾を上下に動かす求愛ディスプレイを行い、苔や小枝をくわえてメスに向かって投げる行動が観察されています。

巣は茂みや木の根元、落ち葉の隙間に作られ、側面に入口がある球形です。内側には根状菌糸束や獣毛が使用され、4から5個の卵が産みつけられ、メスが抱卵します。その期間は約12から13日で、雛は孵化してから13から14日で巣立ちます。また、メボソムシクイはツツドリに托卵されることもあります。

人間との関係

日本では、メボソムシクイの囀りを「銭取り、銭取り」と表現することがあります。この鳥の分布域は広く、生息数も安定していると考えられるため、現在のところ絶滅の危険は低いと見られています。これらの要素は、メボソムシクイが日本の自然環境における重要な一部であることを示しています。

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