ツツドリ

ツツドリ（筒鳥）

ツツドリ（学名：Cuculus saturatus）は、カッコウ目カッコウ科に分類される鳥の一種です。東南アジアからシベリアにかけて繁殖し、冬は東南アジアからオーストラリア北部で過ごす渡り鳥として知られています。カッコウやホトトギスと近縁で、同じように托卵という習性を持っています。

名称の由来

ツツドリの名前は、繁殖期のオスが発する「ポポ、ポポ」という鳴き声が、まるで筒を叩いているかのように聞こえることに由来します。中国語では、ホトトギスやカッコウとの大きさの違いから「中杜鵑」と呼ばれたり、オスの鳴き声から「蓬蓬鳥」という俗称で呼ばれることもあります。

形態

全長は約33cmで、キジバトくらいの大きさです。ホトトギスとカッコウの中間くらいの大きさで、体型はスマートです。体色はやや濃いめで、虹彩は茶色っぽい色をしています。メスの成鳥には、背中側が赤褐色で黒い横縞模様のある「赤色型」と呼ばれるタイプも存在します。

分布

シベリアから中国南部、ヒマラヤにかけての地域で繁殖し、東南アジアからオーストラリア北部にかけての地域で越冬します。マレー半島からボルネオ島にかけては、渡りをせずに留まる個体群も存在します。日本では、夏鳥として四国以北に渡来し、繁殖します。

生態

ツツドリは、平地から山地の森林に単独で生息しているため、姿を見る機会はあまり多くありません。しかし、渡りの時期には都市部の公園などにも姿を現します。主に樹上にいる昆虫類を捕食し、特にケムシを好んで食べます。普段は「ピピピ…」という地鳴きやメスの鳴き声を発しますが、繁殖期のオスは特徴的な「ポポ、ポポ」という鳴き声を繰り返します。

他のカッコウ科の鳥と同様に、ツツドリも自分で卵や雛の世話をせず、他の鳥の巣に卵を産み付ける托卵を行います。日本では、主にセンダイムシクイに托卵することが知られていますが、他にもメボソムシクイ、ヤブサメ、メジロ、キビタキ、オオルリ、サンコウチョウ、ウグイス、ホオアカ、ノジコ、アオジ、モズ、ビンズイなど、様々な種類の鳥に托卵した例が報告されています。

卵

ツツドリの卵は、通常、白色または淡褐色で、褐色と淡紫色の小さな斑点が散らばっています。しかし、赤い卵を産むホトトギスがほとんどいない北海道中央部以北では、ウグイスの卵に似た赤い卵を産むことが報告されています。

参考文献

山と渓谷社 山渓ハンディ図鑑7 「日本の野鳥」 ISBN 4-635-07007-7
平凡社「決定版 日本の野鳥590」 ISBN 4-582-54230-1

関連項目

* 日本の野鳥一覧

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