メランコリック・ジゴロ -あぶない相続人-

メランコリック・ジゴロ -あぶない相続人-

宝塚歌劇団によって上演されたミュージカル作品『メランコリック・ジゴロ -あぶない相続人-』は、戦後のヨーロッパを舞台にしたサスペンスコメディです。カーニバルを間近に控えた港町で、上流階級への憧れを抱く若きジゴロ、ダニエルは、突如としてパトロンに捨てられてしまいます。生活に困窮したダニエルは、友人のスタンに誘われ、危険な睡眠口座詐欺に関与することに。

詐欺の計画は、ダニエルが自分に瓜二つの青年アントワンの身代わりとなり、彼の父親の銀行口座を相続するというものでした。しかし、期待に反し、口座の残高はわずかな額しかありませんでした。落胆したダニエルは、詐欺仲間のスタンと共にその金を使い果たしてしまいます。

そんな彼らの前に、アントワンの妹フェリシアが現れます。15年ぶりに兄と再会したと喜ぶフェリシアの姿に、ダニエルは自分が偽者であることを言い出せなくなります。さらに、彼らの前に、アントワンの父親から多額の金を貸していたと主張するフォンダリとその一味が現れ、返済を迫ってきます。フォンダリは、いかにも怪しげな人物です。

ダニエルはフェリシアと共に街を逃げ回るはめになります。フェリシアは幼少期に父と兄アントワンが失踪し、最近では母とも死別したため、天涯孤独の身でした。享楽的な生活を送る一方で、心の奥底に深い孤独を抱えていたダニエルは、フェリシアの境遇に同情すると同時に、彼女の純粋な心に惹かれていきます。

事態はさらに複雑になります。フォンダリを追う刑事たちが街に現れたのです。フォンダリには、過去の大規模な列車強盗事件への関与の疑いがかけられていたのです。ダニエルとフェリシアは、刑事たちの捜査に巻き込まれ、フェリシアの家族の秘密、そして列車強盗事件に隠された真実へと迫っていくことになります。

この作品は、1993年に花組で初演され、その後も花組、そして宙組によって再演されています。それぞれの公演で、豪華なキャストと、魅力的なショー作品と共に、観客を魅了してきました。

主な登場人物:

ダニエル：生活苦から詐欺に手を染めるジゴロ
フェリシア：アントワンの妹で、ダニエルを兄と信じる純粋な女性
スタン：ダニエルの詐欺仲間
フォンダリ：謎めいた男で、アントワンの父親から借金があると主張する
ベルチェ、ロジェ：フォンダリを追う刑事

上演履歴:

1993年：花組公演（初演）主演：安寿ミラ。ショー作品『ラ・ノーバ!』
2008年：花組公演（再演）主演：真飛聖。ショー作品『ラブ・シンフォニーⅡ』
2010年：花組公演（全国ツアー）主演：真飛聖。ショー作品『ラブ・シンフォニー』
2015年：宙組公演（全国ツアー）主演：朝夏まなと。ショー作品『シトラスの風III』
2018年：花組公演（全国ツアー）主演：柚香光。ショー作品『EXCITER!!2018』

スタッフ:

作・演出：正塚晴彦
作曲・編曲：高橋城
* 振付：尚すみれ

そして、その他多くのスタッフが、この華やかな舞台を支えました。

『メランコリック・ジゴロ -あぶない相続人-』は、スリリングな展開とユーモラスな演出、そして魅力的なキャラクターたちが織りなす、忘れられない宝塚歌劇作品です。

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