メリィ・ウィドウ

1934年、アメリカ合衆国で製作されたミュージカル映画『メリィ・ウィドウ』。この作品は、オーストリアの作曲家、フランツ・レハールによって作曲された人気オペレッタ『メリー・ウィドウ』を基に映画化されました。

監督を務めたのは、ドイツ出身でハリウッドを代表する映画監督の一人として知られるエルンスト・ルビッチ。洗練された演出で知られるルビッチ監督の手腕によって、『メリー・ウィドウ』の世界観が見事にスクリーン上に再現されています。

主演は、フランスの俳優モーリス・シュヴァリエと、アメリカ合衆国の女優ジャネット・マクドナルド。シュヴァリエは、本作で魅力的な主人公ダニロを演じ、マクドナルドはヒロインソニアを演じ、二人の素晴らしい共演は、本作を彩る大きな要素となっています。

脇を固めるのは、エドワード・エヴェレット・ホートン、ウナ・マーケル、スターリング・ホロウェイといった実力派俳優たち。豪華なキャスト陣による演技も、本作の魅力の一つです。

『メリィ・ウィドウ』は、メトロ・ゴールドウィン・メイヤー（MGM）によって製作されました。興味深いことに、本作はMGMが『メリー・ウィドウ』を映画化した3度目の作品であり、その歴史の重みを感じさせる作品となっています。さらに、フランス語版も同時に撮影されたという、国際的な製作体制も特徴です。

音楽監督はハーバート・ストサート、撮影はオリヴァー・T・マーシュ、美術はセドリック・ギボンズとフレドリック・ホープ、衣裳はエイドリアンと、ハリウッドを代表するスタッフ陣が結集し、その豪華な制作体制は、作品全体のクオリティの高さを物語っています。脚本はエルネスト・ヴァホダとサムソン・ラファエルソンが担当しました。

そしてこの作品は、アカデミー賞にも輝いています。第7回アカデミー賞において、セドリック・ギボンズとフレドリック・ホープが、美術デザイン（室内装置賞）を受賞しました。ハリウッドの技術力の高さと、本作の高い芸術性を証明する受賞となりました。

日本でも、本作は高い人気を博し、1935年には、数々の日本語カバー曲が発売されました。平井美奈子、松山芳野里、関種子、青山薫、ディック・ミネ、千早淑子、藤山一郎、小林千代子など、当時の日本のトップミュージシャンたちが、本作の主題歌や挿入歌をカバーしました。これらのカバー曲は、日本の音楽シーンにも大きな影響を与えたと言えるでしょう。

『メリィ・ウィドウ』は、豪華なキャスト、スタッフ陣、そしてアカデミー賞受賞という輝かしい実績を持つ、忘れがたい名作ミュージカル映画です。その華やかさと、洗練された演出は、現在でも多くの観客を魅了し続けています。音楽、ダンス、そして豪華な衣装の数々は、まさにハリウッド黄金時代の華やかさを象徴する作品と言えるでしょう。オペレッタを忠実に再現しつつ、映画ならではの演出も加えられた『メリィ・ウィドウ』は、時代を超えて愛される傑作として、映画史にその名を刻んでいます。

もう一度検索