関種子

関 種子（せき たねこ）

関種子は1907年9月18日に岡山県に生まれ、本名は秋山種子です。彼女は昭和期に活躍したソプラノ歌手で、日本の音楽シーンに多大な影響を与えました。子供の頃から琴に親しんだ彼女は、上京後に東京府立第二高等女学校を経て東京音楽学校に進学し、そこでドイツリートの権威、マルゲレーテ・ネトケ＝レーヴェから指導を受けました。

在学中に結婚し、無事に本科を首席で卒業した後、1930年に坪内逍遥原作、山田耕筰作曲の歌劇「堕ちたる天女」でデビューを果たします。この作品は彼女のクラシック音楽シーンへの原点となり、その後数多くの演奏会で人気を博しました。

彼女は1931年にコロムビアレコードからデビューし、初期の古賀メロディーを多く取り上げ、その中でも「窓に凭れて」、「嘆きの夜曲」、「あけみの唄」、「日本橋から」といった曲は大ヒットしました。1935年には映画「突破無電」の主題歌「雨に咲く花」が約50万枚を売り上げ、その名声を高める一因となりました。ただ、この曲は日中戦争の開戦後に、女々しいとされて発禁処分となったというエピソードもあります。

1936年からは国民歌謡が始まり、奥田良三らと共に歌唱指導を行い、1940年代にはさまざまな公演に出演しました。多くのオペラ作品に携わり、藤原歌劇団、東京オペラ協会などでも活動しました。1956年には長門美保や佐藤美子と共にコンセールFを結成し、後進の指導にも尽力しました。彼女は国立音楽大学と名古屋芸術大学の教授として、また東京藝術大学の講師としても多くの門下生を育てました。

1974年には紫綬褒章、1981年には勲四等宝冠章を受章し、その功績が認められました。1990年6月6日、腎不全により82歳で亡くなりました。彼女の娘は女優の関弘子。結婚前の旧姓は秋山であり、うたごえ運動で知られる関鑑子は義姉に当たります。

代表曲の一つ「雨に咲く花」は、その後多くのアーティストにカバーされ、特に1960年代にロカビリー歌手の井上ひろしが約100万枚の大ヒットを記録しました。井上バージョンもおよそ2番と3番の歌詞を誤って歌ったことが話題となり、オリジナルの関との間でリバイバルの火が点かれました。

さらに1967年から1975年にかけて、何度も「雨に咲く花」がカバーされ、日本音楽界での影響力が継続しました。関の歌は1991年のアメリカ映画『愛と哀しみの旅路』に挿入歌として使用され、その名は国際的にも知られることとなりました。

関は歌手だけでなく教育者としても多岐にわたる活動を行い、多くの後進を育て日本の音楽界に貢献しました。彼女の影響は長年にわたり、日本の音楽シーン、特にオペラやクラシックの分野に根付いています。これらの功績は、今でも多くの人々に歌声を通じて語り継がれています。

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