メリダ (スペイン)

メリダ：古代ローマの息吹が残る歴史都市

メリダは、スペインのエストレマドゥーラ州に位置する州都であり、バダホス県に属する基礎自治体です。2018年の調査では、人口約59,000人が暮らしています。この都市は、紀元前25年にローマ帝国の植民市として建設され、その歴史は古代ローマ時代にまで遡ります。

古代ローマ時代の繁栄

メリダは、アウグストゥス帝の命により、グアディアナ川を渡る橋の守備を目的として建設されました。当時の都市名は「エメリタ・アウグスタ」と呼ばれ、ローマ軍団「第5アラダウエ」と「第10ゲミナ」が入植しました。その後、ルシタニア属州の州都として発展し、ローマ帝国の中でも重要な都市の一つとなりました。現在でも、スペインで最も重要なローマ建築の遺構が数多く残されており、その歴史的価値は非常に高いです。特に、トラヤヌス帝時代の凱旋門は、当時の建築技術の高さを物語っています。

世界遺産「メリダの考古遺産群」

メリダの遺跡群は、「メリダの考古遺産群」としてユネスコの世界遺産に登録されています。登録基準として、(3)「現存する、または消滅した文化的伝統や文明の稀な証拠」と、(4)「人類の歴史上重要な時代を例証する建築様式、建築物群、技術の集積、景観の優れた例」が挙げられています。この世界遺産登録は、メリダの歴史的、文化的価値を世界的に認めるものです。

主要なローマ遺跡

メリダには、以下のような数多くのローマ遺跡が残っています。

ローマ劇場（Teatro romano）：紀元前24年にアグリッパによって建設された劇場です。
円形劇場（Anfiteatro romano）：紀元前1世紀に建設された円形劇場です。
円形競技場（El circo）：古代ローマ時代の戦車競技などが行われた場所です。
ローマ橋（Puente Romano）：グアディアナ川に架かる橋で、現在も歩行者が利用しています。
アルカサバ（Alcazaba）：橋を守るためにムーア人によって築かれた砦です。
ミラグロス水道橋（Acueducto de Los Milagros）：古代ローマ時代の水道橋で、その壮大な姿は圧巻です。
ディアナ寺院（Templo de Diana）：ローマ神話の女神ディアナを祀った神殿です。
トラヤヌス帝の凱旋門（Arco de Trajano）：トラヤヌス帝時代に建設された凱旋門です。
* 国立ローマ博物館（Museo Nacional de Arte Romano）：ローマ時代の遺物を多数展示しています。

これらの遺跡は、古代ローマ時代の生活や文化を今に伝える貴重な遺産です。国立ローマ博物館では、これらの遺跡から出土した様々な遺物が展示されており、ローマ時代の生活をより深く理解することができます。

その他の情報

メリダを本拠地とするサッカークラブとして、ADメリダがあります。また、ベネズエラのメリダ州やメキシコのユカタン州にあるメリダは、このスペインのメリダにちなんで名付けられました。これらの都市を記念するオベリスクは、「世界のメリダ広場」に建てられています。

メリダは、古代ローマ時代の繁栄を今に伝えるだけでなく、その後の歴史においても重要な役割を果たしてきた都市です。訪れる人々は、古代のロマンを感じるとともに、その歴史と文化に触れることができるでしょう。

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